今回はホタルの病気からその正体を考える記事です。
ピノコニーに至るまでの開拓クエストのネタバレがあるので注意してください。
ホタルについて
ホタルはアイリス家の芸者を自称していました。アイリス家はピノコニーの五大クランの一つで文化を担っています。アイコンはアイリスの花です。
容姿端麗な芸能人のほとんどがアイリス家に所属しているとされています。
彼女は星間難民で密航者であることを明かします。彼女もまた「時計屋の遺産」を探していること、そして、ロストエントロピー症候群という奇妙な病気にかかっていることをおしえてくれました。
「ロストエントロピー症候群」、この言葉を聞いたことはある?奇妙な現象なの、この病気にかかった人は、物理構造が不可逆的な慢性乖離に陥る。要するに、ゆっくりと消えていくってこと。そして、その「消失」は周りの人にはほとんど気づかれない――人並みに走ることも、ジャンプすることも、他の人と会話することもできる。全部正常に見えるの。ただ、いつも人より少し遅いだけ………それがさらに遅くなっていって、いつか自分と世界全体の境界が曖昧になる。現実と夢が同じようにバラバラになるせいで、区別がつかなくなる……
彼女はこの病気のせいで「医療カプセル」の中にいなければならず、彼女は自由に動き回ることができない。
物理学なんてもう通用しない!といいたいところですが、これはホタルが普通の生命でないことをほのめかしていると考えられます。
では「普通でない」生命とは何でしょうか?
スターレイルにおける「生命」とは?
スターレイルの世界には様々な生命体が出ます。大きく分けて有機生命体と無機生命体で、無機生命体にはオムニックのような機械生命体やヨートン体のようなケイ素生命体が含まれているようです。
機械生命体がなにかは謎で、無機生命地帯にいることから無機生命体と関係があると考えられています。「ケイ素生命体」として分類されているように読めるテキストもあります。
ほかにも、メッセンジャーのように肉体を捨て、ミームとなったような存在もいます。ここでは、情報生命体と呼ぶことにします。
注目して欲しいのが星霊と呼ばれるエネルギー生命体です。これにはウーウーボと歳陽がいます。
ウーウーボ
ウーウーボの生態についてはヘルタの「星域界種要旨」に書いてあります。サイヨウ亜種とあるように歳陽の仲間です。
分類:霊質生物界—星霊綱—無形目—魂精科—サイヨウア種
星霊に代表される霊質生物の歴史は、琥珀紀の始まりまで遡る。「古獣受胎説」という仮説では、古獣の一部は黄昏戦争後に取り残され、その長い眠りの間に腐敗した細胞体は生物の始原の器となり、散逸した生命エネルギーは彷徨える星霊へと変化していったとしている。しかし、近年、「古獣受胎説」に反論する学者も増え始めている。他の綻びの多い仮説に関しては、ここでは紹介しない。
当初、星霊は自我を持たず、ただ銀河系をあてもなく漂っているだけであった。開拓紀の時代、「ナナシビト」は銀河系を旅し、人間の自由な移動は星霊を魅了した。有限の寿命を持つ生物の、生と死に対する愛と欲望という強い感情は、星霊の荒涼とした核心を刺激した。人類は、星霊の最も求める宿主となった。星霊は感情の匂いを追って宿主を狙い、体を乗っ取って宿主を歩く死体にする。星霊との融合に成功しなかった宿主は、その場で死んでしまう。エルヴィン・へスラーというナナシビトが最初に星霊の宿主となり、平和的な共生を果たしたことが記録に残っている。他には、多くの星霊の宿主が災いを呼び寄せ、長い歴史の中に消えている。
この生命の研究をしていたのが栄倉で、彼はヘルタがレギオンの襲撃を受けた際に亡くなってしまいました。
ウーウーボは元々あてもなく宇宙を彷徨う生き物だったのですが、「ナナシビト」と出会い、短命な生物の強い感情に興味を示すようになります。それから星霊は人の「感情」を感知して宿主として求めるようになりました。
また、デイリークエストの巨大なウーウーボを見ればわかるのですが、彼らはテレパシーでお互いの位置と状態を知ることができます。
歳陽
続いて「歳陽」ですが、これはシッポがそうです。
「形を持たない天蓋の星火の精。無形目のエネルギー生命体に分類される。歳陽は知的生命体の身体を奪い、その欲望と情緒の変化を味わうことを渇望している。宿主の身体を消耗しつくした後は、次の被害者を探す。」
歳陽は有機生命体に憑りつくことで、共存し、相互にその影響を受けるという関係にあります。歳陽も憑りついた有機生命体の影響を受けてしまいます。
歳陽は有機生命体だけでなく機巧をコントロールすることもできます。
開拓クエストに出てきた絶滅大君幻朧も歳陽の一種です。幻朧は停雲に化けていました。つまり、人の姿になることもできると考えられます
絶滅大君・幻朧
羅浮の開拓クエストに登場した幻朧も歳陽の強い個体の一つです。
【???】
正確な呼称は不明だが、観測記録の残る大君。
スターピースカンパニーの記録によると、彼らはこの600年間に最少でも122の世界が原因不明の混乱に陥り、最終的に反物質レギオンに壊滅させられた事例を観察した。
最初にカンパニーから派遣された調査員たちは、これらの事件がそれぞれ孤立した結果であると考えていた。しかし、すべての災害評価を総括すると、これらの世界の滅亡が一つの原因に帰結することが見えてくる。「精神」の崩壊——信仰体系の内部衝突、精神的支柱の瓦解、文明内部の信用の崩壊、そして希望の完全な放棄。
仙舟玉殿の太卜司は、この一連の操作の背後には、正体不明の絶滅大君が潜んでいると考えている。
同盟に対する潜在的な危険性:未知。
幻朧は特に人に化ける能力を持っていました。ただし、これは「壊滅」の使令の力の可能性もあります。
他のクエストでも故人の姿に化ける歳陽がいたので場合によっては人の姿をすることも出来ると思います。
歳陽は人や機械にとりついて、そのコントロールを奪う生き物です。人にとりついた場合は生命力を奪っていきます。また、造化洪炉の動力ともなります。
星霊の起源
これらの「星霊」というエネルギー生命体は、古獣から生まれたという考え方があります(古獣受胎説)。
崩壊スターレイルの宇宙にまだ人類の記録が残っていない先史時代のことを「黄昏時代」といいます。黄昏時代に存在したものが古獣と呼ばれています。
古獣からそのまま星神となったものとしてウロボロスがおり、見た目もこのような感じだったのだろうと推測されます。
この時代はクリフォトの誕生によって終わったとされていますが、これをヘルタは疑問視しています。
このエネルギー生命体がなぜ重要かというと崩壊シリーズでおなじみの「崩壊」の誕生と関係がありそうだからです。
崩壊も「意志」を有するエネルギー生命体と描かれることがあります(崩壊学園など)。また、崩壊エネルギーは精神と肉体に影響を与えるものです。
星霊の死
歳陽を消滅させる方法はほとんどないとされています。有機生命体との接触を避け、造化洪炉の動力としてしまう方法が今のところ知られている方法です。
フォフォ:小さい頃、羅浮の片隅で虫の息の炎を見つけて……アタシ、かわいそうだなって思って、その炎を自分の尻尾に載せてあげたんだ…なのに…なのにシッポはアタシを食べようとしたの!間一髪のところで現れた判官たちのおかげで、なんとか命拾いできたけど…
その後、フォフォは歳陽の過去に関する話をたくさん調べた。どれほど前のことかはわからないが、「燎原」という名の歳陽が羅浮の将軍に敗れ、いくつかの分霊に分けられ、造化洪炉の中に封印されたらしい。難を逃れた歳陽は「燎原の孤高」だったもので、誰かに憑依することもなく、放浪しながら長い間隠棲していた…死にかけているところをフォフォに拾われるまで。(フォフォ-ストーリー2)
星霊は原則として死にませんが、「自分と世界の境界が曖昧になった」場合に消滅してしまうと考えられます。
シッポは燎原という歳陽の一部でしたが、前将軍である騰驍との戦いに敗れた後、憑依することなく彷徨い、長い間隠棲していました。死にかけになって、フォフォと出会います。
つまり、歳陽は有機生命体と関係を持たないとその生命が維持できなくなってしまっていると考えられます。
歳陽を隔離するための器が造化洪炉です。これは「歳陽祓い指導手帳」に書いてあります。
質問:歳陽を完全に消滅させる方法は?
仙舟人の先人の記録によれば、歳陽を動力源として絶えず消費する以外(工造司の造化洪炉はそのために用意されている)、歳陽を完全に消滅させる方法はほとんどない。
なかなかかわいそうなことが書いてありますが、歳陽はかつて仙舟で「奪舎の禍」という乗っ取り事件を起こしました。その脅威を考えたら止むを得ないのかもしれません。
フォフォが十王の目に留まり、特別な待遇を受けているのも「ヒトと歳陽の共生」を模索しているからだと私は考えています。
以上を整理すると、星霊というエネルギー生命体は、テレパシーを使い個体間のコミュニケーションをとることができたり、機械や人間を操ることができる生き物です。
そして、造化洪炉の動力となることができるようにエネルギーとしても活用されます。
機械生命体と星霊の関係
夢境にいるオムニックを見ればわかるように、崩壊スターレイルの世界では機械生命体も感情を持ちます。
「黄金と機械」で示唆されていましたが、無機生命体の感情の起源は「抑圧」と関係があると考えられます。例えば皇帝戦争のきっかけを作ったルパートはもともとゴミ捨て場に捨てられた機械でした。
機械の残骸が山積みの墓場で、未来の「皇帝」ルパート1世が目を覚ました。この時、ルパートには壊れかけのロジックユニットと古いモーター、90ギガバイトの予備のメモリスペース、そして指一本で曲げられる工業用アームしかなかった。30システム時間後、ルパートは使い捨て動力キャノンで墓地の頂部にある鉄の扉を爆破し、その爆風でロジックユニットを大きく破損した。だが「皇帝」は知っていた、自身が運命の力を把握できると。
「生産に使う機械と破壊に使う機械は平等である」(使い捨て動力キャノン)
ここに「神秘」の星神の関与があった可能性は十分あると考えられます。
一方で、機械生命の感情の起源はこうしたエネルギー生命体に憑りついたからではと考えることもできます。機械はエネルギー生命体を受け入れる器の一つだったのではないか。
前述のとおり、歳陽は有機生命体とのかかわりをもったため、有機生命体と関係。それがパーツの寿命ではなく機械生命体の寿命なのではないでしょうか。
こうした機械生命体と関係がありそうなのがティタニアです。
ティタニアも星霊?
蒼穹帝国グラモスはサムの故郷でスウォームの侵攻を受けていました。サムはグラモス鉄騎の生き残りで遺伝子改造戦士とされています。遺伝子改造戦士というからには純粋な機械ではなさそうです。
ティタニアはそんな中で開発された兵器でテレパシーによって鉄騎兵を指揮することができました。
「スウォームによる恐るべき進攻から戦局を逆転させるため、執政議会は一か八か、人類の本質に手を加えることを決めた——「戦いのために生まれた」兵器を創造することにしたのだ。その成果が「ティタニア」だった。何の権力もない女皇がテレパシーによって指揮を執り、彼女と繋がる騎士を束縛する。彼女が織り成す夢の中で、戦士たちの存在意義とはティタニアと彼女の「帝国」を守ることであった。短い生命の中、彼らは学び、戦い、女皇の統率を受け、恐れることなく敵に立ち向かい、名誉ある戦死を遂げる。」
サムも緑色の炎を身にまとって動く姿があり、これは歳陽に操られた機械とよく似ています。
おわりに
最後にホタルという名前ですが、英語と中国語ではこう書きます。火ですね。名前からもこれらが関係しているのではないかという推測です。
歳陽は火のような見た目をしています。これはプラズマ状態の表現だと個人的には思っています。
一方、ウーウーボは一見するとそのようには見えないのですが、彼らは被り物をしているのでその素顔というのは実はわかっていません。
ホタルの不自然な病気の設定は、その生命の在り方が他の有機生命体や無機生命体と異なるからではないか?というのが私の結論です。
(おわり)
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