沈玉の谷の過去-三人の友人

原神

いつも通り世界任務の詳細な検討をします。今回は「沈玉の祝福」を中心に沈玉の谷の歴史を辿りたいと思います。

そのほか「懸壺の章」(白朮の伝説任務)のネタバレがあります。

今回の記事には時系列上の難点があるので注意してください。

「沈玉の先人たち」に関する話

鯉と蛇の登仙

で思い出すのが「登竜門」です。『後漢書』「李膺伝」に出てくる話で、黄河中流の急流である竜門を登り切った鯉は龍になることができるという故事です。

浮錦は龍にはなっていませんが、仙人が元素生物であることを考えるとなんとなく関係がありそうな気がします。

璃月の仙人は、天地の間に漂う元素の力から生まれた純然たる元素生物である。つまり、常人と比べて「道」の根源に近い。(閑雲-ストーリー-神の目)

元素生物へと昇華すること、これが「登仙」の正体なのではないかと考えられます。浮錦は仙人について、生まれつきの仙人は居らず肩書に過ぎないという話をしています。

人間が移住する前はこうした自然の生物と仙人が雑居する時代であり、「天界の使者」と交流があったと考えられます。

天界の使者との交流

「天界の使者」というのは天空の島と人々の間を繋ぎ、人々に知恵を授けた種族です(翼があったので私は文字通り「天使」のイメージをしています)。今回は「青い空の上で久しく沈黙している使者」「天にいる仙人」などの呼び方がされています。

他には「偉大な種族」などとも呼ばれ、仙霊の元となった種族だと考えられます。

金色の人物が二人いてこれは仙人となった浮錦と薬君を表していると考えられます。

マオ:大昔の人は天にいる仙人と話ができたんだ。きっとあの真ん中の大きな玉に向かって話してたんだと思う。…。その後に起きた異変のせいで、沈玉の谷の先祖は導きの使者を失い、天にいる仙人と話せなくなった。それで投瓏儀式が生まれたんだ。

この時代を構成する人々は謎ですがおそらくウェンティがいう「神々がまだ大地を歩く時代」(序章1幕)だと考えられます。これらの人々は「異変」のせいで交流を失うことになります。

天地に起きた異変

「その後に起きた異変」というのがおそらく天上の王座を巡る争いだと考えられます。これについては『日月前事』や知恵の主の章2幕(ナヒーダの伝説任務)などで言及があります。

天上から第二の王座が訪れ、創造の始まりを彷彿させる大戦が起ころうとしていた。あの日、空が落ち、大地が割れた。我ら海淵の民の先祖と、彼らが代々住んできた土地は、ここに落ちた。そして、暗黒の年代が始まったのだ。(『日月前事』-【葬火の年】)

「話せば長くなるが…遥か昔、我らはあれこそが天理に勝てる唯一の力だと思った。「龍王」(ニーベルンゲン)が世界の外から手に入れた漆黒の力は我らを導き、外来者が定義した秩序に抗う手段になると。…。空前絶後の戦いがテイワットで繰り広げられた。その悲惨さと言ったら…危うく世界全体を崩壊させるところだった」(知恵の主の章2幕)

この結果、「天の主」は大地を補う天の釘を落とし凡人の国を滅ぼしたとあります。もっとも、釘が落とされた時期には幅があって、例えばドラゴンスパインは相当後の話だと考えられます(魔神戦争の最中)。

「それはかつての、平和だった遥か昔の時代。多くの使者は凡人と交流し、天空からの言葉を伝えていた…」
「けれどその後、侵入者は天空の外から来て、数えきれないほど多くを破壊した。川も海もひっくり返って、疫病が横行して…」
「外から来た者たちは私の血族に戦争をもたらし、大地の枷をも破る妄想をもたらした…」
天の主は妄想と突破を恐れ、大地を補う天の釘を落とし、凡人の国を滅ぼした…
「私たちもそれぞれ追放という災いを身に受け、天空との連絡は途絶え、教化する力を失ってしまった…」(楽園の絶歌-紫晶の花冠)。

元の世界の柵は壊され、闇色の毒が大地に滲みこんだ。あの脆弱で、哀れで、不完全な世界を癒すために、鋭い釘が落ち、大地を貫いた。
だが、我が定めた規律はより優美で緻密、ゆえに必要もない。彼女の付き従ったものが、そのために死んではならない。詩文がこれにより失われてはならないのだ。」(赤砂の杖)

これらの災いによって「天界の使者」は呪いを受け仙霊となり、また、沈玉の谷に元々いた人々もいなくなってしまったのだと考えられます。そして、この地に移住してきた人がいました。

層岩巨淵からの移住

高天の裁き

テイワットの亀裂を修復するために釘を使ったのならば、釘は「異変」の後に使われたと考えるのが自然だと思います。ということでこの記事では層岩巨淵からの移住をここに位置付けます。

これらの壁画が残されたのは魔神戦争時代の話で、「沈玉の谷の先人たち」によって描かれました。この壁画に描かれているのは天から釘が落とされ人々が移動している場面です。これに関係することは武器「碧落の瓏」に書かれています。

沈玉の谷の先人たちは元々そこに住んでいたわけではなく、彼らは代々紅紫の鉱山に住んでいた。
部族と世家は鉱坑を中心に生活し、彼らは山に沿って住処と集落を建ててきた…
しかし、鉱坑の底に隠されている深き罪悪は誰にも知られず、地下に埋もれている。
高天の裁きは人を許すことなどない。災厄の後、先人たちは一族を率いて北上するのを余儀なくされた。

翹英荘の年寄りは、沈玉の谷の先人たちは南にある天坑から移動してきたと言う。
彼らは玉からなる壮大な祭壇をもたらし、誰も解読のできない古の廃墟を残した…」
(碧落の瓏)

なぜ紅紫なのかというとこれは層岩巨淵の砂が地下に行くにつれて紫紅色になるからです。

沈玉の谷の先人の移住については他の場所にも書いてあります。

「老人たちが語る言い伝えによると、沈玉の谷の先人たちは遥か南の地から移住してきたそうだ。そして、ここに高天に通じる祭壇を建て、数えきれないほどの壮大な殿堂を残したという。玉で作られた祭壇はもう見つからない。ただ、沈黙に包まれた古い廃墟だけが、未だに濃霧に覆われた山々に佇み、知られざる秘密を守っている。」(赤璋の石垣)

この移住した人々が祭壇を築きました。

祭壇の建設

彼らは赤璋の石垣に「玉からなる壮大な祭壇をもたらし、誰も解読のできない古の廃墟を残し」ました。先人の手記に祭壇を築いた経緯が書かれています

彼らがこの地に来て最初に出会ったのが山の主である霊淵(「霊…」)だったと考えられます。「来歆が既に覆され、浮錦も…我も…かつての祈雨璞玉を割り、妖魔に奪われることを防ぐ…」とあるように、投瓏儀式に人間が関わったのは霊淵の誘導があったようです。

このときの霊淵は人の姿で人々の前に現れたようです。…その顔は華美を極め、言葉では表せない。空前絶後と言えよう。その姿は壮麗そのもの、賞賛の言葉が尽きない。声は清らかであり、…」というこれほどない賛美の言葉にあふれています。人々は霊淵のことを仙人だと考えていました。

この手記にも層岩巨淵に関することが書いてあります。

「…沈玉に住み、層岩を思う。時と共に変化し、世と共に流れる…」「…深き谷、高空を知るすべ無し。住人を思うと、涙を零す…」「…年の瀬を迎え、霜と露が服に付く。この壁を描くことしかできず、後世に永遠の戒めとなることを願わん…」

層岩巨淵から沈玉の谷に移住して来て、祭壇を築いて始めたのが「投瓏とうろう儀式」であったと考えられます。

投瓏儀式の始まり

浮錦:天地に異変が起きた後我らは…沈玉の谷の先人たちは天と意思を通わせる能力を失い、月光のように美しい使者の導きも失った。ゆえに、月光のように温かく艶やかな宝玉を川へと投げ入れ、お告げを聞いたり、水と土の回復や豊潤な気候、堤防の安定性を願ったりするようになった。

この金色のを持った人物は浮錦が自分のことを指していると言っています。山の上から瓏を川(碧水川?)の中に落としています。

※「」とは雨乞いなどに用いる玉のことをいいます

金色の人物は一人になっていますが、これは薬君はこの儀式については関心がなかったからと考えられます(「古い文書・一」参照)。浮錦はこの儀式による人間との交流を楽しんでいたようです。

魔神たちの残酷な戦争が始まった時、沈玉の谷の先人たちはすでに無数の部族に衰退していた。
彼らの末裔はかつて、とある忘れ去られた魔神を信仰していたが、それもやがて歴史の中で塵となって消えていったのだ。」

とあるようにこの「沈玉の谷の先人たち」は魔神戦争のころには分裂して衰退してしまっていました。

魔神戦争

宝玦は二つ、なぜなら両耳に着けていたから。

千岩軍による石垣の再建

千岩軍による赤璋の石垣の再利用がはじまります。たぶん仙岩団の話だと思いますがここでは任務にならって仙岩軍とします。

「沈玉の先人たち」は前述のようにこの頃には衰退してしまい、残されていたのは遺跡だけだったと考えられます。

千岩軍はここを拠点に妖魔と戦いますが、数が多く劣勢に立たされます。そこを救ったのが蒼獣でした。千岩軍はこれを仙人だと考え、石碑に残しました。

「…兵士によるとその姿はかつての山主と酷似している…しかし山主は猊であり、舞猊の姿と大きく異なる蒼獣は、仙人が変化した姿だと判断すべきだ…仙人の徳、軍隊の功を記念するべく、この碑を建てる…」

猊=獅子

ある魔神による洪水と薬君・浮錦の反発

追い詰められた主は強硬手段にでます。川を氾濫させて沈玉の谷の住民ごと破壊しようとしました

主の凶行に対し、薬君と浮錦は反発します。薬君は直接主に対して牙をむき、浮錦は霊濛山に登って碧水川に祀瓏スーロンを落としました。

霊淵の役割

魔神戦争における霊淵の役割は、①千岩軍の補助、②民衆の避難誘導にあります。①については既に書きました。

霊淵は薬君と浮錦のように直接、主に反乱を起こしませんでしたが、民衆を追い回す形で人々が避難するのを助けました。

その記録が『古い巻物』にも残っています。

「…獣の群は…蒼猊が率い、名を山主と呼ぶ…大群を連れ山を訪れ、獣に襲われる者はなし…」「…仙君の洞府に着くと、洪水に襲われ…女子供は全員助かる。だが猊獣は姿をくらます…」「…猊獣も仙君だと言う者がいる…しかし…が仙人であり、その美は揺光の如く、猊獣は遠く及ばず…それでも恩は忘れるべからず…」

結局、壁画として残されたのは蛇と鯉だけでした。

反乱の結末

マオ:…でも最後、蛇はバラバラに切られて、魚は水底に沈んじゃったって言ってた。藍は唯一の生き残りだとも…

私はこれをバラバラになった蛇と水に沈んだ鯉の死を悼んだ壁画と解しました。浮錦が初めて見たと言ったからです(この壁画は登仙の場面と解することもできると思います)。

生き残った霊淵は「人間」のために犠牲となった薬君・浮錦を理解できず怒りをぶつけたものと考えられます。

その後の沈玉の谷

岩王帝君の庇護

沈玉の谷を支配していた魔神は異郷で命を落とします。そして、沈玉の谷は岩王帝君の庇護となりました。このことは武器「古祠の瓏」のテキストに書いてあります。

沈玉の谷を支配していた魔神が異郷で命を落とし、岩王帝君の秩序がこの地を引き継いだとき、
山野に落ちぶれていた先人の村落は、璃月からの文明を受け入れつつも、祭祀の伝統を残していた。
歳月が流れるにつれて、硬い石も柔らかい水に磨かれて丸くなり、当地の古い伝統も璃月の移民に受け入れられた。そのため、ここでは璃月港とは異なる風習が発展していく。璃月港の人とは異なる温和な気風を持つようになった。」

薬君の伝説

「沈玉の谷の奥には百病を治せる薬君が住むと伝えられている。薬師はひとり山を訪れるとそこで力を使い果たし、息も絶え絶えの白蛇を見つけた」

ただしここの白蛇の目は金色です。契約した者がこの金色の目を受け継ぎ、蛇の目は赤くなると考えられます。

以上が霊淵が今回の事件を起こすに至った背景です。

三人の友人

三人の友人

ある魔神に仕えた三人。薬君と浮錦は仙人で、霊淵は仙人ではありませんでした。三人とも人の姿になることができたようです。

この三人の交流はほほえましく、霊淵は特に浮錦のことをかなり気にかけています。今回の騒動を起こしたのも浮錦とまた会いたかったからというものでした。投瓏儀式のときも、魔神戦争のときも浮錦を陰から支えていました。

3人のエピソードとして「古い文書・二」が挙げられます。山の主の少女(霊淵)が薬君に『痩せる薬』をおねだりするのですが、あの魚(浮錦)がそれを必要ないと知りつつ一緒に薬君におねだりしたという話です。

浮錦は大きな鯉、薬君は白い肌で赤い目をした人間、霊淵は山の王(である少女)などと表現がされています。

薬君については明言されてないのですが、旅人の話を聞いた後に「薬君が璃月港に居を構えた」と言っているので長生のことをいっているのでしょう。

浮錦は特に南方の仙人とも交流がありました。

南方の仙人との交流

浮錦は魚と会話出来たり、魚の姿で水のあるところは自由に行けるというちょっと便利な能力を持っています。

浮錦:あの平和な時代――我は滝に登り、奥蔵山(留雲)や琥牢山(理水)に行って、自分よりも力も見聞も遥かに優れる仙人と交遊した。…。

浮錦が言及しているのは歌塵と留雲と理水です。降魔大聖(魈)についても名前だけ言及しています。

彼女は老茶樹の丘というところに、山の主(霊淵)の許可なく勝手に茶の木を植えます。そして、留雲と理水を呼んで茶をしようという約束をしたのですが実現しませんでした。おそらく魔神戦争によって異なる立場となってしまったからでしょう。

この木の一部が移されたのが翹英荘の茶の起源であるという説もここで書かれています(ただしこれは複数ある中の一つです)。

疑問点

魔神は誰なのか?

浮錦:主は決して悪逆非道な者ではない。かつてあの方は多くの夢をもたらしてくれた。本当の悪は、まさに「魔神戦争」を指すのじゃろう…聡明なおぬしらのことじゃ、我が説明するまでもなかろう。

少なくとも水を操る能力(ないし天候を操る能力)があったと言ってもよさそうです。また「沈玉の谷を支配していた魔神が異郷で命を落とし」たとあります。

水の能力で連想するのは(みずち)ですが、これは璃月で亡くなっています。

「夢をもたらしてくれた」を文字通り受け取ると、魈の主人であった魔神を思い出します。

ほかにも帰終を倒したと思われる魔神もいますがどうやら封印されてそうなので違うと思います。

オロバシも候補として挙げられます。オロバシは異郷で命を落としたのと「貴金の神」なるものと戦った記録があるからです。

「我が未知なる海へと落ち延びたのは、貴金の神と鳴神に敵わなかったゆえのこと。」
「それでも光を望むのなら、いつかまた必ず、亡失を再び味わうことになる。」
「我の死は取るに足らぬもの。無為に生きる屈辱、汚名による恥辱――もう十分だ。」
(誓いの明鐘)

原神はあまりこういうところでひねってこないのでオロバシのことを言っていると思います。

璃月は魔神が多いですね。魔神が多かったからこそ、魔神の残滓も多く、そのため妖魔も多かった。魈のような夜叉がいたり、重雲のような方士がいたり、「侠客」の物語が多いのも納得です。

時系列の問題

すっきりしない部分です。

上では「天の異変」⇒「層岩巨淵からの移住」の順が自然であると書きましたが、それより前に人がいた痕跡があります。マオと最初に見た壁画には2人の金色の人物とそれに付き従う人々が描かれています(これについては後世の人々が伝承を元に想像して描いたからということもできますが)。

「天界の使者」は人々に知恵を授けた種族で、それと交流があったということは仙人以外にも「人」がいた可能性が高いと考えられます。それを層岩巨淵からの移民とに考えるとその人々はどこに行ってしまったのかという問題が生じます。

仮に「異変」よりも前に釘が落とされたのであれば、層岩巨淵から人々を導いたのも「使者」と考えることができます。そして仙人と共に人々は天の使者と交流していた。このように考えると壁画に描かれたことがしっくりきます。

その他の細かい疑問

あと細かいことで気になったのは赤望台と歌塵です。

赤望台、赤璋の石垣はなぜ「赤」なのか。「璋」は玉璋のように祭器を表す言葉の用です。たぶん太陽を受けた玉の色を指していると思います。あとは祭壇の方向の不自然さも気になります。どうして天空の島を向いていないのか。

歌塵は衣装がウロコとヒレっぽいデザイン、波の用な柄、名前にも「浪」(波)、だったので魚と関係があるのかと思ったのですが特に言及はありませんでした。

浮錦も魚ですし、「友人」と言っていたのでもしかしたらどこかで絡みがあるのではないかと期待しています。

おわりに

薬君については白朮の伝説任務二幕で掘り下げられると思います。薬君の残した処方箋の行方がまだわかっていないからです。

正直に言うと何カ所か納得できない部分があるのですがひとまずこれで打ち切ります。議論のたたき台になればと思います。今回の世界任務は人によって解釈が変わると思います。

(おわり)

コメント

  1. 匿名 より:

    世界任務を適当にやっているとわかりにくい箇所もあって困惑したけど、この記事をみてスッキリした!

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