この記事の目的は、「ビルキースの哀歌」に関連する資料を整理することです。
バベルの目的は永遠のオアシスを見つけて管理し、部族の安定的な発展を目指すこと。ただ、ほんとうにそれだけなのか?というのは疑問に思います。
結論を言うと、バベルは旅人の命を狙ってジンニーの力を手中に収めようとし、また永遠のオアシスを管理下に置くことで部族の発展を目指しているがその両方の目的は達成し得ないということです。
タニット部族
タニット部族は昔から冒険者協会と付き合いがある部族で、「信頼に値する人々」とキャサリンは言っています。
花神を信仰する母系氏族であり、「九長老」が部族の最高権力を分け合っていました。
タニット部族の収入源は「狩猟」と呼ばれるいわば略奪と取引で生計を立てています。ワニの革の製品やウェネトの脂肪から作った動物性香料を取引しています。
よそ者を拒んでいるが、決して頑固で保守的な者ではない。実際、彼らの中の多くは街にいる「文明人よりも賢い。タニットの人間は文字と知識の力を重んじる。「アーカーシャ」を信じてはいない。彼らの知的水準が高いことはゾーヤの報告でも触れられています。テントにも役立つかは微妙ですが様々な本がおいてありました。
たくさんの支族がある。本編で出て来たのは「アフェア支族」でアデルフィと結んで旅人を襲撃してきました。
前の主母が亡くなって「九長老」の指導の下、重要なことを公開議論するようになった。「九つの口」がいがみ合った…でも今は風向きが変わった。随分と静かになっている、少なくともこれはいいことなはずだ(アデルフィ)。
内部で動乱が発生した、「他の八名の長老は全員粛清された」。タニットはバベルとアザリクに管理されるようになった。(報告・二)。
ブレダ長老にワニの餌やりをジェイドがせがんだという話があったのでそう昔の話でもありません。
断片的な事実を整理すると、前の主母が亡くなってから、新たな主母を含めた九長老によって重要な物事を議論するようになったが、いがみ合ってなかなか前に進むことが難しくなった(部族の停滞期)。そこで、バベルが周りの長老を粛清することによって、部族のまとまりを取り戻したという感じのようです。
この粛清のきっかけがいまいちよくわからないんですよね。ジェイドが部族に来たことならあまりにも残酷ですが、少なくと粛清するには何らかの合理的な理由があったはず(例えばアザリクのように体制転覆をはかったなど)。
キャサリンが「信頼に値する人々」と言っていたのは前の体制の時だったのではないでしょうか。少なくとも今はそういう印象を受けることができない。
疑問点など
① 旅人がアフェア支族に襲撃されたことについて知らなかったと言ったこと
アデルフィはあくまで「連絡人」、アザリクが暗躍していたとしてもすべてを知らなかったことなんてあり得るのだろうか?ジェイドを連れ出した使者はバベルが出したもの。仮に嘘をついていたとたらジェイドが気づいてるはず。
② 「永遠のオアシス」を管理下に置いてどうするのか?
ジンニーが眠っている場所、土は肥沃となり、家畜の群れも健康を保てる。緑生い茂るオアシスを作れる。つまり、「永遠のオアシス」がなくても、ジンニーさえいれば目的は達成できます。
「タニットの民たる者、砂漠だけを頼りにしてはいけない。金メッキなんてものはいずれ風砂によって風化していくものさ…本当の黄金は、土壌と泉の水に深く根差しているんだ!」「そう、バベル主母は言ってるからね。だからみんな…農作業とか読書も学んでいかないとってさ。」
いわゆる深金の話ですね。ジェイドの話を聞くとバベル主母はとてもいい人のように聞こえます。少なくとも肥沃な土地が欲しいというのは本当のようです。
③ 長老の粛清とアザリク、アデルフィの喪失
血なまぐさい話。権力を掌握したのはいいのですが、タニット部族はボロボロです。
そしてなぜか見逃しているマシーラについてはこれは、「価値のある人間」だから生かされていると思います。彼は旅人を危険な「成人の儀」につき合わせたり、タッドラーに直接命を狙わせたりしています。最初にタッドラーを探しに行かせたのも、バベルがファデュイと旅人の衝突を利用しようとしたと考えられます(バベルとしてはどっちがつぶれても問題ない)。
今回の世界任務はナヒーダのスキルがフル活用されてますがここもそう。「彼女」とはバベルのことを指していると考えられます。
④ サミエルとの関係
仮にサミエルのメッセージが「あの女」がバベルであったとしても、サミエルとバベルでは求めていたものが違うように感じます。前者は、「黄金の眠り」を、後者は「永遠のオアシス」を求めていました。仮に、バベルの希望がそうであるならば、それはサミエルと対立するものではありません。
個人的には、「黄金の眠り」は、砂漠の人間にとっての魂と記憶の居場所ようなものだと思っています。生と死が流転する中で、人の魂と記憶はなくなってしまいます。砂漠には森に対応するような場所がないので、キングデシェレトがそれを作ったのではないかと思います。
そう考えると「あの女を相手にするための武器」と言っていたように、対立があったのかどうかよくわからなくなってしまいます。
⑤ 破棄されたテント
バベルは「永遠のオアシス」を探すため、繰り返し各地に調査隊を派遣していたようです。中には同じ花神の信仰者もいれば、キングデシェレトの信仰者もいたようです。この点について、バベルに問いただそうとしたところはぐらかされてしまいました。
⑥ ファデュイとの関係
ゾーヤと取引をしていたようです。しかし、ひいては対立するようになったことがゾーヤ側の記述から明らかになってます。
「最初は「提携」なんてのを旗印にして、あたしたちの商人とつるみ始めたんだ。だが、次第にあたしたちのことに干渉するようになって…かなり鬱陶しいが、背後にある勢力はかなり強大なはずだよ。この前、あたしはもう北方の人間を部族の範囲から追い出し、あたしたちの狩場に顔を出すことを一切禁じた。彼らがこれ以上あたしの族人に害を加えないようにね」(バベル)
これは、「急に裕福になって」(「ファッロフの子」のノート・1)とも関係のある事実だと思います。タニットのような部族が例えば急にワニ革や動物性香料を増産できるかというとそれは難しく、ということは「狩猟」が増えたことが原因と考えられます。それで、その恰好のカモとなったのがファデュイだったのでしょう(あるいは「裏切り者」かもしれない)。ゾーヤも狩場にいた3人がいなくなったと書いています(報告・二)。
アデルフィの態度とファデュイの態度はかなり気になりました。明らかに戦う意志がない。ファデュイもどちらかといえば当惑といった感じで明らかに戦う意志がない。ジェイドは問答無用で彼らを殺してしまいます。この点からするとジェイド以外はもしかしてファデュイとの関係を知っていたのではないか?と考えられます。
で、別の任務を見るとやっぱりバベルはファデュイと通じているわけです。
一方、ファデュイ側はほかに何をしているかというと、捕まえた戦闘員が「…任務は、砂漠の各部落の現状を調べて、貿易を餌に部落の人間を味方につけること、そして賢者の注意を引くことだ…スメールの執行官様に便宜を図るためにな。それから…フロドラッカー教授も砂漠で生体サンプルを探している」(「失せ物を取り返す喜びをともに」)
ファデュイ側は別の思惑があってそれぞれ動いていることがわかります。
⑦ 教礼院との関係
考古調査の護衛として契約し、アザリクらが調査に同行したことがわかっています。これもビジネスと考えればなんら矛盾はありません。アザリクが持っていた書類もどちらかというと「狩猟」で手に入れたものなのかとは感じます。
⑧ リルパァールの発言
リルパァールは「あなたの顔に奴隷根性を見た」とかなりきつめの発言をしている。彼女はアザリクのことを「己の主に面従腹背する野良犬」と言い放ったり、初見で人を見抜いている。そんな彼女にここまで言わせるということは何か隠しているのは明らかでしょう。
「(物語中の)ジンニーと違うところは、凡人ならではの羞恥心と名声は彼女に偽りの仮面をかぶせることができた、という点か…けれど、彼女もまた同じような人間であると、私にはわかる。彼女にとっては、自分の子でさえも、奸智や陰謀の道具にすぎないだろう」
「あの子はまだ知らない。どんな罠が待ち構えているか。己が望むあの家が…一体どのような偽りであるかを」
伝説のジンニーの母をしてここまで言わせるバベルの目的とは何なのか。
一 旅人を殺してジンニーの力を手中に収める
結局、バベルの巡らせた奸智や陰謀をみれば繰り返し旅人の命を危険にさらしたことは明らかです。ジンニーとの契約は死によってのみ切られる(ジンニーから切る場合は例外)と繰り返し言われてました。肥沃な土地を手に入れることという目的のためだけなら、ジンニーを手に入れればいいだけですから、わざわざ「永遠のオアシス」にたどり着く必要はありません(だからこそ、アザリクはあの段階で「ジンニーの母」を自分の手に移そうとしました)。
ただこんな結論をジェイドが受け入れるわけもなく、旅人も倒せるわけがない。マシーラが「甘く見過ぎた」と心の中で言ってるのもその通りでしょう。
一方で、
二 花神の力を手に入れる
「ジンニーの影響を受ければ、周りの砂漠がどれほど不毛な地であっても、たちまちオアシスに変わってしまう」。道中でも、「ジンニーの欠片」を回収した時に、周りの植物が一気に枯れたりしましたよね。ジンニーは「常に外へ向けてエネルギーを発射し続け、自身の休眠のために静止した環境を作り続ける」という性質を持っており、そのため欠片の周りには小さなオアシスがありました。
だとすると、「永遠のオアシス」が実在するならば、そこに眠っているであろう花神の力は相当なものであるはずです。
もっとも、世界任務でわかった通り、永遠のオアシスの「永遠」は虚構でした。フェリギスが自らの「ジンニーの欠片」を機械にいれ、その力でなんとかオアシスを維持していました。リルパァールはそれを解放してあげました。こうして永遠のオアシスの崩壊は始まりました。
この事実からすると、「永遠のオアシス」を手に入れてもバベルの目的は達成できません。
ですがバベルの心の声を読むとこんなことを言ってます。気づいていないのでしょうか?
任務を全部終えた後だとセリフが変わります
三 別の魔神
苦肉の策として別の魔神を出す。スメールでは別の魔神の話がほぼないのでもしかしたら…。
別の神の信仰者だから、例えば花神の信仰者やキングデシェレトの信仰者を平気で危険な調査に派遣したってことも考えらえますよね。
色々考えたのですが結局全部しっくりきませんでした。
じゃあ気になる結末はというと部族の名を汚してたのはまさにバベルだったわけで、ジェイドが〇して主母になると思います。自分の居場所は自分で作っていかなければならないのでしょうね。
RIPバベル
(おわり)
(補足)関連資料まとめ
自分用に作ったもの。せっかくだから整理しておきます
破損した記録、タニットのマークがある記録
ジェイドが来る前に、バベルは「永遠のオアシス」を探すために2つの調査隊を出していた。一つは、花神の信仰者の調査隊、もう一つは、キングデシェレト信仰者の調査隊。後述するタラファの調査隊(ジュラバド遺跡の調査)のようにバベルは繰り返しタニットから各地に調査隊を派遣していたようです。危険な旅で多くの死者が出ていたことが伺われます。
アマルディの密書
アザリク、アデルフィが「北方の人間」と手を組んでたという決定的な証拠。
アザリクはジェイドと結婚して部族主母に仕立てるというとんでもない計画をしていました。
ユフィのノート
今のジェイドの状況を考えると読んでいて泣けてくるノートです。
教礼院のマークがある契約書
バベル・タニット主母と妙論派学者ダステア、ジャジーラ・ヤサールの契約書。古代機械考察の安全と便宜を図るため。アザリクが機械に詳しかったのはこれがきっかけだったのかもしれません。
部族の行商人の手紙
アザール失脚の件が書かれているのでわりと最近に書かれた手紙。
タニットが商人との間で書物の密輸を行っていたこと、セノが主導している「援助計画」(3章5幕)は教育関連で役に立たない、シティの人間との敵対関係、教礼院の学者がジュラバド遺跡や「永遠のオアシス」に興味を持つことを警戒していることなどの記述がある。行商人がバベルに考えを改めるように説得している点が気になります。「数年前」というのは、「契約書」と関係があるのでしょう。
ファッロフの子のノート1
かつては花神の口うるさい信者だったが、最近は急に裕福になったという話がされている。
この横取りされた契約というのは、たぶん上の「教礼院のマークのある契約書」です。手付金が十五万モラで一致しています。
しわくちゃになったリスト
ジェイドの家においてある紙切れ。ブレダ、ガワッファ、イジドール、メドゥール、テイヤ、マシーラ。「マシーラ」を除いて、全員の名前が線で消されている。
おそらくジェイドが殺した長老のリスト。ブレダ長老については、ユフトゥンとの会話でジェイドがワニの餌やりをせがんだ相手として出てきます。
ゾーヤ・シュナイツェフナ大尉の行動報告
ゾーヤ・シュナイツェフナ大尉の行動報告(其の一~其の三)というのがあります、ここにシュナイツェフナというのは、召使の孤児院「壁炉の家」で育てられた孤児の女性に与えられた名前で、これまでのストーリーでも、カタリナなどが登場しています。男性の方は、シュナイツェヴィッチという名前が与えられています。
バベルがゾーヤと取引をしていた過去がありました。しかし、彼女はバベルに裏切られたようです。
ちなみにアデルフィと取引していたのはこの人のようです。
フロドラッカー・フランケンシュタイン教授という人物は世界任務「失物を取り返す喜び」の方でも出て決ます。アルコールを飲まないとまともに働けないと言われてます。「砂漠の人間」の生体サンプル?を欲しがったりろくな人間ではなさそう。
長距離探索者の覚書
長いので要約します。
まず時期が不明です。ジェブライラがタニット出身なのでタニットにいた頃の話なのか、それとも「トトメス」にいた頃の話なのかは分かりません。タラファが「母と認めた」といっているので、タラファもタニット出身のようです。
一~五はタラファが、六はジェブライラが記しています。タラファの探索隊がジュラバドの遺跡を探索した時の記録です。探検隊はタラファ、ウムル、バハウディン、ラビード、ジェブライラ、サミエルの6人で構成されていました。
まず、ウムルが砂漠の中で失踪し(其の一)、続いてはバハウディンが赤鷹に襲われて亡くなった(其の二)。さらに、ラビードがサソリの毒で死んでしまい(其の三)、ジェブライラも足を踏み外して谷に落ちてしまった(其の四)。このように調査隊のメンバーが次々と消えていきます。
そうしてタラファはジュラバドの門に辿りつくのですが、持っていた石の鍵だけでは足りず、「ジュラバドの秘宝」を手に入れることができませんでした。(其の五)。
タラファがサミエルを手にかけようとしたところで姿を隠していたジェブライラが止めに入り、難を免れたという話です。そして、全てを振り返ったジェブライラが記す。サミエルは石の鍵が本物だというがジェブライラはそうと考えなかった。「あいつ(タラファ)が新たに主母と認めた女」(バベル?)の嘘であると考えた。(其の六)
この石の鍵は「赤砂の石板」と反応して、砂となってしまいました。石板には「谷」を現わすデシェレト文字が刻まれました。
ここで見つかった門は場所的に、世界任務「過ぎ去りし終末」で出てきたジュラバドの街門のことを差していると考えらます。
この後にジェブライラとサミエルはこの後にタニットを離れ、「トトメス」に入り、そして、「赤砂の石板」をみつけた。ジェブライラはそれを持ちだしたのが「黄金の眠り」の話。アザリクがジェイドのことを「あの裏切者の娘」と言っているように(アデルフィの密書)、ジェブライラはタニットでは裏切り者扱いされていたようです。「タニット部族とあの子の父親との間ではちょっとしたいざこざがあった」とバベルも言っています。
(補足2)黄金の眠りに関する資料
サミエルのメッセージ
サミエルはファデュイと手を組んでいたので、「皆さん」とはファデュイのことを指していると考えらえます。
「鍵は一つじゃない」とは「赤砂の石板」(+石の鍵)とブンブンのことを言っているんだろうと思います。
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