不定期で書いているスターレイルの記事です。
印象的な脇役ですがおそらく解説記事の類がないので書きました。女カは「じょか」と読みます(カタカナの「カ」)。
たぶんこのキャラが印象に残っているのは「ぞよ」という語尾にあると思います。女カは素裳が握っている「軒轅剣」とも関係があります。
この記事は崩壊3rdを一通りやった艦長と3rdをやる時間はないけど女カについて知りたいという開拓者向けの記事です。
崩壊3rdの編年史他、メインストーリーのネタバレを含んでいるので注意してください。
霊砂と丹朱
「私は羅浮で生まれ育った持明族です。かつては『丹朱』という名で、師匠のもとで多くのことを学びました。しかし、彼女は政争に巻き込まれ、異邦の地に追放されてしまったので、私も後を追ったのです。今は名前を変え『故郷に錦を飾る』ことができたので、とても感慨深いです」
崩壊3rdでは女カというキャラクターが丹朱と呼ばれています。そのため、一部艦長からは両者が関係あるのではという声が挙がりました。
確かに女カと霊砂のcvは違うのですが、過去にはナターシャのようにcvは違うけれども関係はありそうというキャラクターは出て来ています。
調べたところ2018年には女カと伏羲の名前は差し換えられていたようです。
女カが丹朱、伏羲が蒼玄となっています。見た目と合致しているので覚えやすいですね。
まずは、霊砂について現在分かっている情報を整理し、続いて女カに関する話を紹介したいと思います。
霊砂の派遣の背景
新しく仙舟「羅浮」丹鼎司の司鼎に就任した、美しく聡明な医士。鋭い嗅覚で病を突き止め、薫香で患者を落ち着かせる。
画像からも分かるように彼女はお香を炊いています。丹鼎司の新しい司鼎とあります。
まず、丹鼎司とは羅浮の組織である六司の一つです。羅浮の雲騎軍のトップが景元で、天舶司のトップが舵取りの御空、太卜司のトップが太卜の符玄であるように、丹鼎司のトップが司鼎であると考えられます。
霊砂の師匠の名前はここには出ていませんが雲華であると考えられます。雲華は持明族との争いに関わって追放されたとなっていますが、その詳細はわかっていません。
丹鼎司は雲華が辞めてから長く司鼎が不在だったようで、ここで力を伸ばし、実質的な指導者となったのが丹士長の丹枢でした。
今は玉絡が代わりの丹士長を務めています。
同盟は「指導者不在の状況」が薬王秘伝による危機をもたらしたと考えました。そこで、派遣されたのが霊砂だと考えられます。
丹鼎司に司鼎が置かれず、放置されていた原因のひとつとして丹鼎司の衰退があると考えられます。
仙舟人は星神「薬師」の影響を受け、優れた自己回復能力を持っています。そのため、医者のお世話になることが少ないと考えられます。
回復力故に、特に薬に頼らなくても回復してしまう。しかし、これには例外もあって例えば精神については肉体のような回復能力はないと考えられます。
例えば戦争による心的外傷が魔陰の身を発症するきっかけとなったりしています。心の病を治すには別の治療法が必要なのでしょう(「忘却」も一つの治療だとされています)。
以上が、霊砂と丹鼎司の背景に関する解説です。
ポイントとなってくるのは霊砂の師匠と持明族が対立していた理由、そして、持明族である霊砂を弟子にとった理由でしょう。
次に女カに関する説明に入ります。
三皇五帝
中国は「怪力乱神を語らず」の国だから神話に関する記述が少ないと聞いたことがあるかもしれません。
しかし、中国にも豊かな歴史があります。今回は三皇五帝について紹介したいと思います。
「三皇五帝」について聞いたことがあると思います。3+5で8なので縁起がいい数字です。中国の神話から歴史にかけて伝説の8人の帝王をいいます。
諸説ありますが、ここでは三皇は伏羲 、女媧 、神農 で、五帝は黄帝 、顓頊 、嚳 、堯 、舜 とします。
※これは『史記』の記述によるものです。三皇については唐代に付けられた注釈によります。
崩壊3rdでは主に伏羲、女カ、神農(炎帝)と黄帝(姫軒轅)が出てきます。姫は姓で、のちの周王朝も「姫」の姓を用いています。
スターレイルで素裳が握っている剣が軒轅剣です。
※見た目は同じですがスターレイルの世界には今のところ律者コアが存在しないのでその機能にはかなり差があると考えられます。
黄帝はこの蚩尤を涿鹿の野に戦って破り、ここから新たな秩序がはじまったとされています。
3rdの世界ではこの蚩尤が崩壊獣として登場し、女カ、伏羲、姫軒轅はこれと戦いました。
※蚩尤と姫軒轅、神農に関する物語については「聖痕の謎」という漫画があったのですが、公式から削除されているのでここでは設定として扱っていません。
女カの性格
女カはオタク文化が好きで、アニメ、漫画、フィギュアが好きです。
崩壊学園においてはバビロン学園でニート生活をおくっている神格という過激な設定。天地修復の神話だったり、人類の母であるというのは神話をベースにしています。
ギリシア神話ではプロメテウスが土と水から人間を創ったという話がありますが、中国では女カが泥から人間をつくったという逸話があります。
3rdでも泥から人形(フィギュア)をつくる話が出てきます。
(補足)精衛の由来
精衛は海に落ちて亡くなった炎帝(神農)の娘の女娃(じょあい)に由来します1。女娃は遊歴中に溺死し、鳥へと生まれ変わり海を木や石で埋めようとしました。この鳥は、その鳴き声から精衛と名付けられました。
画像のこの聖痕のセットを精衛海塡セットといいますが、これは「精衛海を塡む」という古事から来ていると考えられます。無駄骨を折るという意味です。
このエピソードだけ見るとネガティブな名前のように感じられるかもしれませんが、逆に絶望の中でも強い意志を貫くことを意味すると考えることもできます。精衛が落とし続けた木石は現文明の礎になりました。
この世界では女カは「神話」をつくった人でもあります。それは神話を通じて人類に崩壊に対抗する知識を未来に残すという意図もありました。
女カには双子の姉がいて伏羲といいます。神話における伏羲は八卦を作ったとされています。八卦は中国の古代哲学や易経において、宇宙の根本原理や自然の法則を象徴する8つの基本的な図形のことをいいます。
崩壊3rdにおいては女カが神の鍵である「軒轅剣」を、伏羲が前文明のコンピューターを管理する役割を担っていました。
女カの経歴
女カは前文明の生き残りの一人でした。前文明とは今の文明が出来る5万年前の文明をいいます。高度に発展していたものの、崩壊によって滅びてしまいました。その一部がコールドスリープにより、次の文明を影から支える役割を果たしていました。
※字幕がなぜ女媧のままなのかは謎。右で書類の山に埋もれているのがクライン。
女カと伏羲はメビウス研究室の一員でした。仕事についてはクラインがほぼ負担していたようです。
メビウス博士2は未だにファンが根強いキャラです。博士は研究内容がちょっとアレだったので孤立しがちで、構ってくれるのはエリシアと助手のクラインくらいしかいませんでした。女カと伏羲も彼女に対してはちょっと引いていました。
ちなみにこの「メビウス実験室」3は重要なイベントだと思います。ch31につながる話をしていました。このあたりのwebイベントは内容に踏み込むものがそこそこありました。
「アポニアの心理相談室」4もそうしたイベントの一つです。黄昏の街から至深の処にいたるまでのアポニアが描かれています。なぜ彼女はエリシアを慕うのか?その背景が描かれています。
誘導がないので後からシナリオを読んだ人は気付きようがないのはちょっともったいない。
クラインという数少ない「理解者」に不幸が訪れた後、メビウス博士は孤立を深めていきます。こうして、女カと伏羲は別のプロジェクトに参加することになります。それが火種計画でした。
前文明では世界の終わりに備えて4つの計画が用意されていました。聖痕計画、方舟計画、恒沙計画、そして火種計画です。
聖痕計画はヴェルトさんがいっていた「精神のアダム」をつくる計画です。
一方、火種計画は前文明の遺産を継承して次の文明が自分たちで解答を見つけるという計画でした。次の文明に「選択」の自由を与えるという点で確かに穏当な計画ではありましたが、青写真がなく、実現性が不透明であるという欠点がありました。
そこで、最後の保険として聖痕計画が残されていたというわけです。
火種計画を当初やる予定だったのがエデンで、伏羲と女カも彼女の助手をすることになっていました。しかし、エデンは前文明と運命を共にすることを選び、計画を華に託します。
女カと伏羲は二人があまりに違うので当惑しました。
エデンは前文明のスーパースターでまさに前文明を象徴する人です。一方、華は崩壊が無ければ学校に通っていた普通の女の子でした。
エデンは華に「プレゼント」として火種計画を託しました。そこには英傑ではなくて「華」として生きてほしいという願いが込められていました。
エデンは言ってみればすでに咲いた花ですから、まだ成長途中の華こそ「種」といえるというのもわかる気がします。
初めは当惑した女カと伏羲でしたが、華の人柄の良さに触れ彼女と一緒に計画を進めることになります。それから今の文明がはじまり、華、伏羲、女カは神州の地で文明の発展を支えました。
その後、神州の危機に際して、女カと伏羲は命と引き換えに蚩尤の崩壊エネルギーの大部分を封じました。そして、姫軒轅が軒轅剣を持って蚩尤にとどめを…という流れです。
武装人形「伏羲の書」
「伏羲の書」は女カと伏羲が華のために遺した武装人形です。二人は融合戦士ではなかったので華のような長い命を持っていませんでした。二人は華が孤独になるのを防ぐためにこの人形を残しました。
見た目は伏羲(「ぞ」)なのですが、口調は女カ(「ぞよ」)に似ています。女カはメビウス博士が作った武装人形クラインを見て、私も姉上(伏羲)とそっくりの人形がほしいといいました。
これに対して博士はほしいなら自分で作りなさいと言いました。
のちに伏羲は「伏羲の書」を完成させます。しかし「伏羲の書」にはバッテリーの消耗、即ち寿命がありました。これはおそらく前文明から残された資源に限りがあったからでしょう。
この時代の文明の発展レベルでは「伏羲の書」のバッテリーの代わりとなるようなものがなかったと考えられます。こうして精衛は「伏羲の書」と別れることになりました。
この続きが描かれたのは比較的最近の話です。ch40(ver6.9)で再登場しました。クラインと博士たちは「伏羲の書」のバッテリーの問題を解決しました。
ちなみにクラインは電池で動いており、メビウス博士が直々に作った人形であることからかなり高性能な個体であったことが分かります(楽園の管理者としてずっと動いてたくらいですからね)。文明の発展も一因でしょうが、クラインの存在が大きかったと考えられます。
フカはこうして「伏羲の書」と再会し、「伏羲の書」も旅に同行することになりました
※私は前文明を華、現文明に入ってから約500年前までを精衛、現代をフカと使い分けています(公式も概ねこの区別を用いていると思います)。
終わりに
女カについてはたぶん調べてもあまり情報が出て来ないと思うのでまとめてみました。いかがだったでしょうか。このあたりの話は時系列が前後したりしているので知らないことがあると思います。
仮に元ネタと関係があるとすると元帥の華との縁が深い人物であるのでちょっと詳し目に解説しました。
3rd未プレイでもわかるように解説したつもりですが、間違いであったり分からないところがあればコメント欄で遠慮なく指摘してください。
(おわり)
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