レムリアを読みとくキーワード

原神

レムリアに関する予習の記事です。前提となりそうな知識を整理しました。

やや長いですが少なくともこれだけ知っておくと世界任務をスムーズに進められると思います。

キーワード(と思われるもの)については赤色マーカーにしてあります。

※世界任務「水仙の痕跡を辿って」のネタバレがあるので注意してください。

神王レムス

原始の時代にあった文明が滅亡して、野蛮の地となったフォンテーヌに新たに秩序をもたらしたのが神王レムスでした。その出自はよくわかっていません。すべての島を征服し、諸部族を臣従させることで統一を果たしました。

※帝国では?というツッコミがありますがあまり細かいことは気にせず書きます。

レムス王の時代は三段階に分けて考えることができます。

⑴ 建国~繁栄

リオセスリ:言い伝えによると、レムリアの帝王レムスは天啓を受け、金の蜂に化身した予言者シビラ(Sibyl)を尋ねた。レムスは金の蜂と大船フォルトゥナ号と共に、海上に自分の国を建てたという。彼はその国をレムリアと名付け、フォルトゥナ号に乗って新たな島や部落を探し回った。そして、その者たちに帝国の統治下に入るように呼び掛けた。(魔神任務4章4幕)

(フォルトゥナ号と思われる沈んだ船)

やがて偉大なレムス王が金色のフォルトゥナ号に乗ってメロピスに降り立ち、文明と秩序を再びフォンテーヌの地にもたらした。彼は人々に耕作の技術を教え、土地を耕地に変え、巨石で神殿と都市を築き、人々が住めるようにした。そして何より重要なことに、王は人々に音楽と芸術を教え、人間を他の生物から切り離し、万物の主人であるという自覚を持たせた。
その後、レムス王とその不朽の艦隊は高海のすべての島を征服した。海淵の下の巨竜までもが王に臣従した。原始の時代が終わって以来、こんな素晴らしい日々はなかった。永遠の繁栄は直に成し遂げられるかに思われた。(「レムリア衰亡史・1」)

繁栄の様子は「レムリア衰亡史・2」に詳しい。

帝国にはフォルトゥナ号が停泊できるような巨大な港があり、船を導くための天高く聳える塔があった。戦士の街マチモスや芸術家の街カピトリウムもありました。特にカピトリウムは帝国の中心として劇場と金色の宮殿が壮大な建築物だったようです。

都市と都市の間は「調和と繁栄の旋律」が隅々に響き渡るように御道が整備されていました。

統治にあたっては4人の調律師が帝国の「不協和音」を取り除き、秩序を維持していました。

こうした繁栄の一方で、予言者が残した不吉な予言がありました。

神王とその民たちが甘い夢に浸り、永遠に進歩する未来を楽しんでいた時、神王の予言者たちは不吉な予言をした。「どれほど栄えた帝国でも徹底的な破滅を迎えるもの。それがフォルトゥナ(Fortuna)です」
そこで神王は七天の運行と、海と陸を流れる風から原初の計画を悟り、それに基づいて調和と繁栄の楽章を作曲した。
地上の都市国家がこの至善の楽章を共に奏でれば、 運命の審判を逃れ、そのまま永遠に至福の楽園に行けると信じて。しかし古代の作家たちはこぞって、栄枯盛衰は世の習いで、永久不変のものはないと言った。(レムリア衰亡史・1」)

この辺りは前回の公式のライブ配信の冒頭で召使がタルタリヤにレクチャーしていた内容です。レムス王はこの「フォルトゥナ」から逃れるために、「調和と繁栄の楽章」を作曲し、王国中に響き渡るようにしました。

⑵ 混乱の時代

レムスの頭には常にフォルトゥナがあったと考えられます。「永遠」を追求するにあたり、「永遠」の方法とは何か?「永遠」の敵とは何か?が問題になると考えられます。

①「永遠」の方法

イーコールはレムスがかつて原始の海に行った際に「水国の先主」から受け取ったものから作られたもので、魔像の材料の一つです。

レムスはこれを用いて民に「永遠の命」を手に入れてもらおうと考えていました。

※エゲリアが「人間」を創った時期との前後は不明(おそらくそれより前の話だと思われます)。このイーコールと原始胎海の水の関係についても分かりません。

傲慢な僭主はかつて、民に肉体を捨て、独立した永遠の命を手に入れてもらうよう、知恵と記憶を保存する、純水に溶けないイーコールを作ろうとした
だが、精神と肉体の転換による苦しみは、凡人には耐えられるものではなかった。僭主の命令はボロボロのを引き裂いた
多くの魂の慟哭により、イーコールは黒く染められ、調和を失った精神には、混乱と狂気だけが残されていた。
(武器突破素材「純聖な雫の昇華」)

②「永遠」の敵

「永遠」の敵といえば雷電将軍に言わせれば「時間」ですが、ここでは帝国内の別の種族が考えられます。名前が挙げられているのは深海の龍族です。

「だが毒龍スキュラ(Scylla)は我々の塔を破壊し、我々の楽師を殺害した。害をなす蛮族には、もはや救いを受け入れる価値もない。」
「受け入れる価値がない以上、土地と水源から彼らを一掃すべきだ。疫病を根絶し、野火を消し止めるのと同じように。」
その瞬間、黄金の時代はたちまち停滞し、果てしない戦争と反乱の渦中に陥った

以上の二つの原因から帝国は混乱に陥ったと考えられます。龍族との戦いには魔像が必要、そして魔像を作るには人間が必要。人々の間に混乱が広まればますます隙ができて外敵が侵入して…という感じです。

⑶ 滅亡

滅亡の原因については曖昧です。調律師ボエティウスは「裏切」りであると考えていました。ほかにも色々な場所に「野心と裏切り」「神王の裏切り」と書かれています。

「一時の狂気のせいで、彼(レムス)は我々全員を裏切った。」
「秩序は容易には変えられない。人を悔い改めさせるのもまた然り。」
(聖遺物「黄金の夜の喧噪」)

レムスの罪についてもかなり曖昧な書き方がなされており、その一つが「神だけが持てる権力を人間に与えた」ことであるとされています。

しかし、定められた運命は神々でさえ変えられないものであり、運命の審判から逃れようと企むことがすでに重罪である。神王が犯した数々の罪の中で最も罪深いものは、神だけが持てる権力を人間に譲ろうとしたことだ。力と権威を得た人間は堕落し、続いて暴動と反乱が起きた。(「レムリア衰亡史・3」)

滅亡の直接の原因は洪水、大波などと書かれています。これについては、断罪の「降臨」が原因ではないかという推測を前に書きました。

タイユフェール:しかし、これらは数千年前に発生した洪水に呑み込まれて跡形もなくなってしまい…レムリアの文明も衰えていきました。(中略)。こと芸術の分野においては、音楽、絵画や彫像に至るまで、レムリア人の文明の影響が色濃く残っています。フォンテーヌの芸術の源と言っても過言ではないでしょう。(「旧世の残した音」)

大地が一夜にして崩壊し、高く聳える塔や建物が根こそぎ倒れ、巨大な柱がもろとも天まで届くような大波に飲み込まれるまで。御道は崩れ、神殿は傾き、永遠の都とその住民、戦士、智者、高官たちは、かつて太陽のようにまばゆく輝いていた黄金の宮殿とともに、永遠に光の射さない深い淵の底に落ちていった。そこで人々はようやく、自分たちの目に見えていた永遠が、如何に愚かな妄想であったかに気がついた。(「レムリア衰亡史・3」)

※「色褪せた古城の倒壊」という詩も滅亡に関係する書籍だと思います。

以上がレムス王とレムリアの末路です。

フォルトゥナ

元ネタはローマの運命の女神です。原神では「どれほど栄えた帝国でも徹底的な破滅を迎えるもの」という破滅の運命のことを指しています。

ルネはそれに加えて「国家の盛衰や、文明が滅亡した後に新しい文明が生まれること」と言っており、再生にも言及しています。

「フォルトゥナ」について…神話、箴言、詩…現在整理されている「フォルトゥナ」に関連する資料はどれもこの内容が書かれている。 最初の想定とはあまりにもかけ離れているが…せいぜい漠然とした推論と先験的な断言としか言いようがなく、定量的とも科学ともまるで言えない。世界式と比べて実に粗雑で原始的で、しかも……やはり取り繕っただけの産物に過ぎなかった。材料の選択においても古代人は間 違っていたのだ。だがそれも仕方のないことだ…意志分析学と「密合の約印」を除いては、まるで利用価値がない…古代人は千年もこんな嘘に騙されてきたのだ。 信心深いと言おうか、 愚かと言おうか…(「考察記録」)

呑星の鯨との戦いの真っ只中、いつのまにか武器に絡みついていた細い糸。
古代フォンテーヌには、すべての現象を司る「フォルトゥナ」は、竪琴の弦のように細い「繊維」を織って出来ている――と考えた人がいた。壮大なメロディと共鳴する糸はあまねく幸福をもたらす一方、不協和音は宇宙のテクスチャを破壊するであろう。
(素材「光なき糸」)

音楽

レムリアは音楽を意識したデザインを多用しています。レムリアでは「調音符号」という文字で記録をしていました。

レムリア文字について…一種の表音文字のようで、今のところ識別できている文字は一桁しかない。 実に不思議なことだ…長い間我々はそれを簡単な音符だと考えて おり、その上で幾度となく試みたが、 進展はなく、 研究は一度行き詰まった……サー・エーリッヒの指摘を受けた後、 自然哲学学院に保存されている古代の写本の中に見つけた…これら碑文の解読にようやく進展があった…百里の道の第一歩にすぎないが、これで我々は既に従来の神秘学者全員を超えたことになる…
(「考察記録」)

レムリアでは「不協和音」を取り除くために4人の調律師を任命していました(おそらくテトラルキアを意識しています。)

中でも調律師ボエティウスという人物は色々なところに名前が出てきます。この人物は帝国の滅亡を見届け、悪龍を封印した人物なので世界任務でも名前が出てくると思います。

遺跡には音楽を意識したデザインが見られます。

龍族

王国の支配する地域には龍族、「昔日の人」(レムリア人以外の人々のこと)、純水精霊と純水騎士がいました。今回の話で中心となってくるのはおそらく塔の下に封印された龍でしょう。

「だが毒龍スキュラ(Scylla)は我々の塔を破壊し、我々の楽師を殺害した。害をなす蛮族には、もはや救いを受け入れる価値もない。」
「受け入れる価値がない以上、土地と水源から彼らを一掃すべきだ。疫病を根絶し、野火を消し止めるのと同じように。」
その瞬間、黄金の時代はたちまち停滞し、果てしない戦争と反乱の渦中に陥った。
(「黄金の飛鳥の落羽」)

※スキュラというのはギリシア神話に出てくる女の怪物。ガリュプディスの向かいの洞窟に住んでいた。フォンテーヌにもガリュプディス砦という地名が出てきます。

遥か昔の壮大な時代に、魔像が軍団を組んで深海の龍族と戦ったことがあった。
海に棲む龍の末裔はかつては暴虐な一族で、スキュラという親王が統治していた
当時、龍王スキュラは蛮族と龍族からなる大軍を率いて古い国の関所に突撃した。
そして、弓を持った軍団が赴き抵抗する。それは大調律師がスキュラの力を封印するまで続いた
(武器「静寂の唄」)

レムス王は龍族に手を焼いていましたが、それは深海の龍族に対し地上の人間の分が悪かったからと考えられます。最終的に王国が勝ち、悪龍は塔の下に封印されました。

沈んだ都の僭主が黄金楽章の最後の一曲を奏でた時、王に寵愛される楽師(ボエティウス)はイーコール(ichor)がたっぷり入った金盃を盗んだ。神王の愚かな裏切りに驚き、楽師は最後の衛兵を招集し、溶けないイーコールで悪龍を高塔の下に封印した後、王国と共に海底に沈んだ。
その後、この尊い盗賊の姿は歴史から静かに消えていき、「金色の劇団」のみが、彼の予言を忠実に覚えている。
武器突破素材「無垢な海の金盃」)

魔像

人間の魂で動くと考えられる兵器です。レムリア王国の時代に創られました。「鋼鉄の鎧を身にまとった軍団」などという表現もされています。

イーコールはレムスが原始の海を訪れた際に「水国の先主」(エゲリア?)から受け取ったもので、彼は不朽なる石とこのイーコールを合わせて「黒い鉄のように固い種族」を作り上げます。

どのような帝国が千年にも続けられるだろう?龍の国から帰ってきた後、僭主(レムス)はそう考えた。
不朽なる石と、原始の水から抽出されたイーコールを組み合わせ、黒い鉄のように固い種族を作り上げた——魔法の石を皮膚に、イーコールを血に。それから、野蛮に戻る呪いを恐れることはもうない…
沈黙する魔像は、未だに素晴らしい帝国の夢を見ている——いつの間にか、帝国の滅亡から千年も経ったのだが。
(「無垢な海の苦杯」)

魔像については公式で言及があり、こいつを魔像ケントゥリオというらしいです(PSブログ参照)。

おそらくこれも魔像でしょう。

この魔像はレムリアの末裔を自称する「金色の劇団」と関係があると考えられます。フォンテーヌ廷の文化では悪役として使われることがあります。前文明の亡霊のような存在ですね。

輝かしい過去の時代、純白の甲鉄艦「スポンジアン」はフォンテーヌ海軍の誇りだった。
その時代、巨大な重砲と頑丈な衝角を備えた甲鉄艦隊はフォンテーヌ廷の寵児であり、
グロリア劇場の時代には、観客は白い艦隊が魔像の軍団を掃討する物語に拍手喝采を送った。
(武器「タイダルシャドー」)

今、一部の地方の伝説では、古代の偉大な学者たちまでもが魂を吸い取る魔法使いのように描かれている。彼らは人の魂を特製の魔像に入れて、思うままに使役していたというのだ。確かにレムリア人は恐ろしい魔像を作ったことがあり、今日でも時おり田舎でその痕跡を見つけられるが、これは末期レムリア社会の腐敗と堕落によるものだ。レムリア人は自らの崇高な役割を放棄し、享楽と怠慢におぼれた。他人に暴力を振るうことを黙認したため、逆に暴力に叩き潰される結果となったのである。(「レムリア衰亡史・3」)

おそらくこれがファントムハンターの伝説に繋がってくるものと考えられます。前文明の亡霊である魔像(と「金色の劇団」)を取り締まるために活躍したのがファントムハンターということです。

「不穏な影を追いかけ、ことごとく蹴散らし、狩り尽くす。」
これは後に「黄金ハンター」となり、
この呼び名を恥辱と思っているカッシオドルのことである。
また、これは「ファントムハンター」という職名の由来ともなった。
聖遺物「狩人の胸花」

レムリアの建物

塔/金色の宮殿(色褪せた城)/黄金の劇場

これらはレムリアに関連する建造物です。レムリアはおそらく夢境と現実の両方にあった国であったと考えられます。

塔(高塔?)

現実と夢の交差点にあったとされる建物。既に倒壊している。

船が御道に沿って海を支える柱を通り抜け、御船フォルトゥナ号が停泊している巨大な港に入ると、まず目に飛び込んでくるのは天高く聳えるだ。レムリアの塔は高天の教えを聞くためではなく、高海の諸島間を往来する船を導くために建てられた。塔は現実と夢の交差点に建てられたという。 船乗りたちが海の魔物の誘惑で眠りに落ちても、鐘の音に沿って霧を突き抜け、レムリアへの航路を見つけられる。(レムリア衰亡史・2)

※これについてはレムリア王国を夢のような世界と形容した可能性がないとも言えません。ただし、フォンテーヌ廷にはカピトリウムやマチモスの遺跡と思われるものが見当たらないことなどことから、これらは夢境の側にあったのではないかと考えています(フォンテーヌ廷の真下という可能性も)。

(個人的にはここも怪しいと思っていますが、建築様式がレムリアとは違い、淵下宮の様式となっています。)

金色の宮殿/黄金の劇場

レムス王がいた「金色の宮殿」と帝国の中心であった「黄金の劇場」についてはフォンテーヌエリアにおいてはまだ遺跡らしきものが見つかっていません。

マチモスを抜けるとレムリアの中心街カピトリウムに出る。芳しい香りが漂い、あちこちで心地よい歌声が響く。ここは芸術家たちの楽園であり、優れた智者と音楽家だけがここで暮らすことを許される。その中でも神王に奉仕する機会が得られるのはごく少数である。ここの劇場と宮殿は最も調和のとれた形で構築されており、柱と丸天井には華麗で複雑な彫刻が施されている。こうした建物の中心にあるのが山のように高く大きな銅柱で築かれた金色の宮殿で、偉大なレムス王はこの宮殿の中央に座り、帝国の隅々から伝わってくる楽章や音符の一つ一つに耳を傾けている。 帝国のどこかで不協和音がしたら、神王はすぐに琴の弦をつま弾いて正し、帝国全体が奏でる楽章を完璧なものにするのだ。(レムリア衰亡史・2)

色褪せた城

これが「金色の宮殿」の遺跡だと考えられます(他の場所に「色褪せた黄金の城」とあります)。

ペトリコール、妙な名前だ。 古代語では、「魔像」 を表していたらしい…。 今となってはただの荒廃した漁村に過ぎないが、私はかの地に纏わりつく不思議な力を感じられ、心を惹かれている……その島は、フォンテーヌから遠く離れた水域にある。長らく人々に見向きもされなかったのはそのためだろう…そこで伝説にある 「色褪せた城」 を発見することができたなら、私の頭を悩ませている様々な疑問を解決できるかもしれない…(「マスタールッジェロの研究ノート」)

Petra(岩)+ichor(イコル)で「霊液の流れる岩」=魔像のことを指しています。

金色の劇団

「金色の劇団」という名前はよく出てくるのですがどのような組織だったかについては「黄金の劇団の褒賞」に書いてあります。

レムリアの栄光を再び取り戻そうとしていた人々だと考えられます。ちょっと長いですがこの集団については他の手がかりが少ないので引用します。

荘厳で静かな深き海の底には、かつて栄華を誇った王国の都がそびえ立ち、
雄大な古い夢の哀れな残像のように、色あせた黄金の城があった。
黄金の時代の壮大な歌劇はすでに幕を閉じ、調和のとれた楽章ももはや響いていない。
野心と裏切りが滅ぼした廃墟の上に、「昔日の人」は新たな国を建てた。

「なんと恐ろしい!完璧な秩序がまた野蛮にも踏みにじられ、弱者と蒙昧が帝国の領土を占領した。」
「精霊と泉、泉と騎士…子どものたわ言が叙事詩に取って代わり、俗謡が楽章に取って代わった。」
「永遠に続くはずだった権力が神王の一時的な狂気によって打ち砕かれ、今また新しく生まれた蛮族の国に弄ばれている…」
「偉大な帝国が野蛮に戻るのか?無知と蒙昧が理性と文明を征服するのか?」

色あせた城の黄金の劇場で、楽章を失った楽師が二度と戻らぬ往日を偲んで哀歌を口ずさむ。
静かに聞いているのは、飢えて沈黙する魔像——罪なき魂を捕えて食らうのを待ちながら。
黄金の大楽章が再び奏でられるまで待てば、「金色の劇団」は誠実な者が得るべき報酬を受け取るだろう。
完璧な秩序が人間を主人と奴隷に分け、健全な美しさが栄光の王国に再び栄誉を与えるまで待てば…
その日まで待てば…
「金色の劇団」の構成員は皆、未来そのものを褒美として勝ち取れるだろう。
(聖遺物「黄金の劇団の褒賞」)

水仙十字結社

これは余事記載ですが、水仙十字結社はレムリアとカーンルイアの研究を重視していました。レムリアの研究については「考察記録」に詳しく書いてあります。

ルネは世界式によって世界の終末を知り、それを乗り越える方法を模索していました。そこで注目したのがレムリアによる精神と意志の分析でした。レムスもフォルトゥナという滅亡の運命の中でどう生き延びるかを模索した人物でした。

個人的には一連の十字院に関する任務はテイワットの「人間」をどう定義するかの問題だと思っています。

肉体と精神の中で物質的な世界と関りのある部分(例えば「願い」)を取り除いて純粋な意志だけを抽出された存在が「人間」なのかというと疑問が残るところです。これは「人間」の定義を書き換えているだけの行為です。

徳性について…今ではそれを道徳的な考えを示す空論を意味するが、古代人の世界ではもっと実際的な意味があったようだ…意志が肉体を完全に制御できるのは、人間の徳性が完璧な状態であり、神を除けばごく少数の人間しかこの状態に近づけなかった…徳性の劣化に伴い、次第に意志が肉体に縛られていき…最終的には意志が滅び、人間も完全に身体の奴隷に成り下がった…古代人の世界では、これは文明の共同体から離脱し、楽章や神を感じられなくなり、獣と同類になったことを意味し ている…(「考察記録」)

精神と意志について…スメール人が植物ごとのそれぞれの成長段階について専門的な用語を使って説明するように、フォンテーヌ人には水を形容する言葉が二十種類以上ある。古代人の精神に対する研究と区別はさらに高度で、我々の手に届かないほどの高みに達している…大体は記憶、願い、魂と人格に分けられているが、精神の質については非常に複雑な区分がある…その中で、神に近いといえる、 自由で完璧な状態に達したものが所謂、「真実の意志」だ…こうした精密な研究のもと、人の意志を引き離す…まさにその力を利用して、古代人は肉体の超越を実現したのかもしれない。だがそれでも運命の審判から逃れることはできなかった…(「考察記録」)

ここでいう「真実の意志」というのは「降臨」(「一つの世界に匹敵するような強い意志」)のアイデアの原型の一つとなったものだと考えられます。

ルネの研究はテイワットにかなりの影響を与えていると考えられます。特にカーンルイアの災厄については先駆的な研究をしていました。「降臨者」という概念もその影響を受けていると考えられます。

(ルネが活動した時期が500年前~400年前でファトゥスの活動が始まったのも同時期)

このあたりを詳しく知りたい人は以前書いた記事(「ルネの思想を探る」)を参考にしてみてください。

「意志」だけの存在となった雷電将軍は「降臨」に近いのでは?という話などが書いてあります。改めて考えると民の「願い」に目を向けていなかったのもそれっぽく感じます。

「調和と繁栄の楽章」とは?

ちょっと早いですが最後にレムスの「調和と繁栄の楽章」とは何だったのかについて少しだけ考えます。

私は「楽章」=夢境(世界)だったと考えています。様々な音が組み合わさって楽章となり、それが曲となります。楽章も一つの「世界」ということができるのではないかと。

「世界の滅亡」をテーマにした作品はたくさんあります。その解決には、例えば滅亡の原因を力で退ける方法知恵で乗り越える方法共存する方法逃げる方法などがあります。

新しく世界を作ってその中で新たに生命を定義しようというのも運命を逃れる方法の一つだと考えられます。

レムスは現実世界とは別に楽章の世界(夢境)を作り上げて、フォルトゥナから逃れようとしたと考えられます。

曲を「世界」とするなんてちょっとぶっ飛んだ発想かもしれませんが、「音楽」の王国ならあり得るのではないかと。楽譜が存在し、誰かが演奏し続けることでその世界は持続し続けることができる。

しかし、これには楽譜と楽器と奏者の問題があります。世界の存続がその世界の外部に依存してしまっているのです。こういう仕組みだと必ず破綻します(例えば崩壊学園のアヴァロンがいい例)。

おわりに

「レムス」は「フォルトゥナ」から逃れるために「永遠と繁栄の楽章」を作り、「調律師」を用いて統治します。都には「金色の宮殿」(「色褪せた城」)と「金色の劇場」があり、夢と現実の境界には「塔」がありました。

レムスは「魔像」を用いて「龍族」と戦い、帝国はその「裏切り」によって滅びます。その後は「金色の劇団」がレムリアの後継者として活動していきます。

気になるのはレムリアはどのようにして滅びたのか?ということです。また、「統一された文明」の遺跡がフォンテーヌにはないのはなぜか?というのも気になります。

モンドからスメールまで必ずあったこの手の遺跡が無くなってしまったのはおそらくレムリアが関係していると考えられます。

これらの謎が明らかになるのを楽しみにしています。

せっかくのお休み期間だったので、璃月と稲妻の記事を書きたかったのですが挫折しました。

(おわり)

ManQ

原神も3年目となり新しい楽しみ方を探すべくブログを始める。
ストーリーのテキストをじっくり拾って読むのにはまってます。
神話は詳しくないので頑張って調べてます。

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原神
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