第33章 真理の名を以て② 感想

崩壊3rd

第二部の感想

識の律者とケビン

「太虚夢華録」(ch20~22)以来の邂逅。「君は愚かではない」というケビン、ひょっとしたら識の律者に対して一番やさしい人間かもしれない。そして、彼は識の律者に対して興味深いことをいう。

ケビン:いや。識の律者、君も「火種」の一つだ。
―はい?
ケビン:理解できなくても問題はない。五万年前のあの世界が、「現実」に与える最後の影響の一つとでも思っておいてくれ。騒がしい崩壊の意識はすでに消えた生まれながらにして律者である者よ――この瞬間、君は「繭」から何を感じる?
―「繭」?何の話をしてるんです?
ケビン:なるほど、どうやらウサギの心配も理由がないわけではないようだ。
ケビン:僕は「終焉」の角度から、君たちと「起源」の距離を測っている。
―どうやらあなたは本当に「終焉」の力を盗んだみたいですね。
ケビン:正確にいうと、聖痕計画が終焉を「乗っ取った」んだ。僕自身もそのうちの一部に過ぎない。…。…、これまで僕はキマイラ現象によって聖痕の中枢から力を得ることができたが、同じ原理から僕は終焉の鍵になれない。
ケビン:…。それでも、僕たちは偽りの輪廻が、この世代で完全に終わることを願っている。何しろ、「星を並べる」という行為は、一度ですべてが終わるわけではないからだ。

ここでスウが「恒沙計画」で最後に唯一の答えを見つけたことにも触れられる。スウが死ぬ前にオットーに残したメッセージ、そして「唯一の鍵」とはなんなのか?

传承 最终话「最后的布局」

漫画版に触れると、そもそも訳されていない部分が多く、しかもその訳されたものも半分絶版になってる上に電子書籍版もないのでアクセスが限られているという。vol01~02は絶版となってます(2022.12.29現在)。

ホヨラボに有志翻訳のリンクがあるので、それを見たほうがいいかも(一応、公式で)。内容は必ずしも本編と同じというわけではありませんが、驚くほど内容を尊重してると感じます。

散逸する記憶

ケビンとの戦いのあと、ウサギにより意識を失わせられたブローニャが目覚めた。

空間の亀裂に触れると過去の記憶が流れてきた。

記憶① ブローニャの記憶
2011年3月の火事について、マクシムおじさんとの会話。数年暮らした家が火事になってしまった時、その家の最後の姿を見つめた記憶。

記憶に触れた後、ブローニャはキアナと再会することができた。キアナはこの記憶に閉じ込められていた。状況がわからないことだらけ。ここで、キアナがウサギに対する違和感を口にする。

キアナ:理由はわからないんだけど、ぞっとするんだ。オットーやケビンと違って、むしろ「空の律者」みたいな圧迫感がある気がする。なんて言えばいいんだろう……彼女の性格や話し方とは関係なくて、「存在の在り方」自体の「脅威」みたいなものに近いかも。

話をしていると、ヴェルト・ジョイスの影が現れる。その後を追うことに。

記憶② ヴェルト・ジョイスの記憶
これを調べようとしたところで芽衣と再会する。芽衣は自力で脱出した。彼女はこの中で、ヴェルト・ジョイスに関する記憶を見た。

一向には二つの課題がある。一つは、聖痕計画の弱点を見つけて、越えること。そして、もう一つは、聖痕計画を越えた先でさらに「終焉」を越えなければならない。後者のプランについて、キアナには一つ思い当たるフシがあった。

「幽霊戦艦」と謎のメール(ch1)

「キアナへ。元気かい?14年の時を経て、ついにこの戦艦、ムーンライト・スローンを君に返す時がきたよ。」「王座について、新しい世界を創造するんだ。でもその前に、4本の“鍵”を探さないといけない。」「征服の雷疾病の炎渇望の嵐静謐の死。そうそう、航行システムのパスワードは君の誕生日だからね」

征服の雷(コンケストジェム)・疫病の炎(プレイグジェム)・渇望の嵐(デザイアジェム)・静謐の死(セレニティジェム
ムーンライト・スローン(月光王座)

キアナは4つのジェムを集めさせようとした理由が分からなかった。彼女はこれが「終焉」に関係あるのではないかと推測した。カロスタンにおいてテスラにそのことを聞いたらメールを書いたことは認めたが、計画の内容ははぐらかされた。「終焉」までまだ改良の余地があるからだという。そして、ネゲントロピーの人々はキアナに対し、なにやら罪悪感が伝わってくるという。前回の終焉の話と言い外堀が埋められてくる。

ch32において、シュレーディンガーの話だと浮遊島とソルトレイク基地が聖痕計画の影響から逃れられているという話があった。前者は「島嶼計画」を、そして、後者はこの計画を実行しようとしている。

記憶③ ブローニャの記憶
ブローニャ10歳の誕生日プレゼント。うさぎのマトリョーシカ。第二次崩壊がシベリアを変えてしまったことが語られる。

キアナもジークとシベリアに住んでいた。マクシムおじさんは翌年の夏に銃の暴発でなくなってしまった。ブローニャは、その冬「仕事」をしようとして、カカリアに出会う。それから、孤児院に保護されることになった。

記憶④ カール・グスタフの記憶
カール・グスタフとそのいとこエマ・プランクの会話。カールがベルリンに、プランクがプリンストンに行く前の話。

カールは専門家で両親に招かれ、スイスにいる幼少期のアインの話し相手になった人物。1952.1.1のベルリンの第一次崩壊に巻き込まれて亡くなる。プランクはアインとテスラの指導教官で天命の北米支部の名目上の責任者。のちに独立してネゲントロピーの創設者の一人となった。

ブローニャ:「カール・グスタフ」は理の律者コアを構築する三十万分の一で、「最初の部分」の可能性が高いんです。つまり、彼は「ヴェルト・ジョイス」の存在の源というだけでなく、「理の律者」の起点なんです。

ここでカールにこういう役割持たせてくるのは意外でした。

ブローニャはこういう「理の律者」の記憶がみられることから、律者コアが物理的に分裂し、解体されているのではと推測した。三十万人の思想が聖痕計画の影響を受けてしまっている。分散式コアから聖痕計画の影響をどう逃すか。「羽化」を経験していないのも一つの理由かもしれないと推測した。

ヴェルトがその理由を「ジョイスが初めから、人類のために戦う律者だから」といっているように「羽化」とは、どうやら律者が人間性を獲得する(ないし取り戻す)過程のことをいっているようです。コアと完全同期したことがあるヴェルトでさえ、ジョイスが最後の戦いで見せた力に及んでいないという。逆に言えば理の律者の力にはまだ伸びしろがあるということ。

理の律者と聖痕計画の類似性。聖痕計画は夢を通じて人々の意志を統合し、ひいては「終焉を支配する」もの、一方、理の律者コアの三十万人は一人一人が分散式コアを構築するユニットであり、理の律者ではない。影響を受けやすいのは、構造が似ているかも。

記憶⑤ ヨアヒムの記憶
彼が、リアーナのメッセージの書かれた絵本を手に取る場面。かつて、彼女が墓地でおもちゃのロボットを壊してしまいそのお詫びにプレゼントしたもの。

記憶⑥ ブローニャの記憶
ヴラッドが死んだというときの話。マクシムおじさんが偶然PCを手に入れた。何かを覚える前に結局火事で燃えてしまった。

記憶に潜む影の正体

ブローニャは月でありかつ律者コアの内部であることを明らかにする
ここのプロメテウスの会話が極めて長い…キーワードは「物語」「叙事」

プロメテウスがここにいられる理由については、前の章でやったので割愛。

プロ:言いましたよね――人類の最も偉大な力は、「叙事」にあります。理の律者でも、聖痕計画でもその本質は「物語」にあるんです。物語が強ければ強いほど、それは世界を再構築する力を持つことができます。そして物語が脱構築された時に、それはただの紙くずになるんです。
プロ:皆さんも知っているように、理の律者の力は「構築」。無から、複雑なプロセスが必要になる文明の造物を創造できます。なので、理の律者の上限は、文明の「可能性」――すなわち、「物語の限界」、あるいは「叙事の限界」となるのです。…。まとまりのない大言壮語ではなく――充実した内容、人々が心から信じられる「物語」である必要がありますが。道徳は叙事。金銭も叙事。言語、風習、美学、どれも叙事であり、「物語」です。焼畑農業の時代から、一年、また一年と、人々は己の叙事を実践してきた――そのすべての結果が、「文明」と呼ばれています。メイ博士自身の言葉を借りると、「文明は虚構からくるが、真実を超越することができる」。

ネガティブな文脈でとらえるとこの人類の限界こそが、理の律者の限界、だからウサギの理の律者は大した存在じゃないという発言につながると考えていました。「文明」とは何か?を考えたときに、ここでは人間の「物語」の集積だという。たとえば建築家が建物を作るとき、それは建築家は無数にある可能性の中から自分の意志によって一つの設計を選択し、その選択が建築物という実体として表現する(ここでその表現方法を「叙事」といっている)。この人間の意志は建築物という実体で現れている。この建築物は、人間の意志そのものではないから、「虚構」でもあると言ってるんですね。ここでの物語は歴史といっても差し支えないでしょう。同じ語を当てる言語もあります。

プロ:0から1へと、文明は虚構にのみ存在する物事を世界に降臨させ続けます――人類は己の両手と脳で、そのすべてを創造しました。そして、そのメカニズムは……同じように「物語」にあるのです。
芽衣:それって……文明の伝承のこと?
プロ:その通りです。人の最初の英雄譚から、黒板にある文字と数式、それから電子機器に保存された暗号化データ……どれも叙事で、どれも己の物語を作りました。人々は物語の中で戯れ、学習し、物語を通してそれぞれ違う個体を団結させる……さらに言うと、人類は「物語」に属する生き物で、「叙事」は世界を変える人類の根本的な手段なのです。かつての学者はこういう「物語」と「叙事」を「理性」と呼びました。それが「構築」の律者であるあなたが、「理」の名を持つ理由です。
プロ:聖痕計画は「物語の物語」です。物語によって生まれ、それと同時に、あらゆる物語を支配しています。もう一人の博士が好む表現を使うと、それは「対自存在の絶対理念」で、「概念自体の無限」です。そして私自身の言葉で説明すると、聖痕計画は文明の螺旋の上昇とともに出現した「反動」で母体から離れた「叙事」が、自ら存在するようになったものです。

「物語」についての印象が強いのはやはり古の楽園でしょう。

(要補足)

プロ:…律者コアに取り付けることで神の鍵を構築できる人工知能として、私はブローニャを助けることができます。ある程度律者コアの構築形式を変更できるのです。「疑似羽化」……とも言えるでしょう。

プロメテウスがどういう立場でキアナらを助けようとしているのか不思議に思う。彼女は、自分なりの解釈で、メイ博士の立場を引き継ぎました」という。

聖痕計画のフレームワーク

プロ:聖痕計画の最も基本的なロジックは「存在」と呼ばれます。これは「虚構」が成立する礎であり、あらゆる抽象概念の根源です。その「存在」の上にある……まぁ、専門用語はおいといて。とにかく、それは存在にとって重要な二つの性質――「実質」「変化」を現わしています。そして、聖痕計画のコアユニットは「理念」です。「理念」は人々を導き、「真理」の輪郭を映し出します。「理念」とは永遠の矛盾に陥るもの……しかし、あえてそんな形で自分の存在を示すことで、「実在」と「虚構」の境界を消し去ることができるのです。聖痕計画の中では、「生命」が最もストレートな「理念」であり、「絶対性」が最高級の「理念」ですこの計画は「生命」の「絶対性」を「虚構」にしつらえるもの――「個体性」から解放することで、「自身を超越する真理」へと変貌させるのです。……「超越」の代価、その一般的な形式が死です。個体である生命は死に抗いづらい――それ自身も矛盾の一つです。生命は「虚構」から自己の普遍性を見出しますが、自身は「個体」という存在に過ぎません。だからこそ……聖痕計画にとって、個体の死は精神的意味での前進になるのです。何しろ、計画からすれば――「文明」とは数多の世代の人々がその骸と遺言で築いたものですから。

プロメテウス曰く、ブローニャが最短で理解できる聖痕計画のフレームワークとのこと。あまりの早口に笑ってしまった。

このような聖痕計画のフレームワークを踏まえた上で、次に必要となるのが30万人分の思想を取り戻していくこと。しかし、重要なノードさえ押さえてしまえば、一つ一つ取り戻さなくて済む。たぶん、これがカールなんでしょうね。

律者コアに植え付けられた「異物」

「異物」とはウサギの記憶だった。

「彼女」は「ヴェルト・ジョイス」と正反対の人物で、理の律者を警戒し、妬んでいた。「同じシベリアの娘」「ウラル山脈の子供」。一体何者なのか?

感想とか

ch1の意味不明な展開を拾ってきたのはびっくり。FGOの冬木みたいなものか。あれは7年たっても回収されてませんが…。

内容としてはノベル「ネゲントロピー」をけっこう拾ってきました。ヴェルト・ジョイス、カール、プランク、エイダ。

プランク教授の謎

何しに本編にきた?

ウサギの正体

一番気になってますね。
ヴェルト・ジョイスと正反対の人物で理の律者を妬んでいた。そして、「シベリアの娘」だという。シャニアテと理の律者がシベリアにおいてかかわった事件といったら第二次崩壊しか

ManQ

原神も3年目となり新しい楽しみ方を探すべくブログを始める。
ストーリーのテキストをじっくり拾って読むのにはまってます。
神話は詳しくないので頑張って調べてます。

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