第32章 世界の果て 第3部

崩壊3rd

前回のあらすじ(第32章2部)

キアナとブローニャは突如、量子の海に飛ばされた。しかも、律者としての能力が使えなくなっていた。そして、なんらかの「導き」に従い探索を続けると芽衣と再会した。久々に並ぶ三人。それから「導き」に従い別の世界の泡に入るとメイ博士と識の律者がいた。

そこは、「追放の地」。聖痕計画が実行されて、律者たちが送られた世界の泡だという。メイ博士は、ヨルムンガンドと「取引」をしたことを明らかにする。自分が世界の泡にいると気づいたメイ博士は、世界の泡を保管してもらう代わりに、それを「道具」として、使用することを許した。彼女は、代価として、時間を得られた。

メイ博士と固有世界に戻る方法を話し合った。この世界の泡を「虚数の末梢」に再接続することで、この世界の泡を救い、キアナらが固有世界に戻ることができる。そして、そのためには、断橋を修復し、プロメテウスを解放し、虚樹の残骸と戦うことが必要だった。

「精神の枷」の束縛が緩み、空の律者の力を使って断橋を修復し、プロメテウスを解放した。そして、虚樹の残骸を修復しようと中央エリアにいったところ、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

デュランダルとの通信

断橋を修復したことによって、デュランダルと通信することができた。律者信号を捕捉し、律者コアを使った特殊な通信方法で会話した。「妹」との通信。そして、キアナは量子の海であったこと、メイ博士の計画で、世界の泡を「虚数の末梢」に接続する作業をしていることをいう。その一部として、空の律者の力を使って断橋を修復した。この計画に従えば固有世界に帰ることができる。

デュランダルの推測からすると、空間上では互いに重なり合っていて、双対の状態にあるという。

しかし、「虚数の末梢」に接続するには安定したアンカーポイント、世界の泡と他の空間を接続するための反転基点をいう。そのような存在があるのかと疑問に思う。

シュレーディンガー博士博士が言うには、高確率で世界の泡をより早く消滅させてしまうという。

アンカーポイントは反転基点であると同時に、世界の泡のエネルギーの流れをコントロールし、存在が虚数側の本流に流されないようにすることができるなのです。ですが、くりこみは虚数空間自体に対しての行為のなのです――例えるなら、それは綱渡りに使われる綱なのです。綱渡りで羊の群れを崖の向こうに移動させられると思うなのですか?

ようやくわかったように思う。虚数空間、虚数の樹に接続する技術が「くりこみ」で、適切なアンカーポイントがないと虚数の樹の流れ(虚数の樹の成長方向=時間)に流されてしまい、固有世界と融合してしまう。そして、構造を維持できなくなった泡は固有世界に吸収されてしまう。

キアナらはメイ博士に事の真相を尋ねた。

博士の隠し事

何やら識ちゃんと話し込むメイ博士。識ちゃんから固有世界の歴史について教えてもらっていたらしい。ここで、オットーのことに触れている。世界の泡であるここでも「天体に影響を与えるほどの高エネルギー」を記録したらしい。オットーの成し遂げたことは結局なんだったのだろうか?

メイ:みんなが虚数側と繋がった時、この世界の泡が勢いに乗じてあそこに戻れる確率は――そう高くないわ。たとえそれができたとしても……使えるアンカーポイントがない限り、世界の泡と固有世界は強制的に融合する。私とプロメテウスはそのまま消えるでしょう。
この世界の泡が「道具」になった時に、あの橋の「完全な状態」と固有世界の「崩壊状態」が衝突したの。その結果はあなたたちが見た通りよ。…。ケビンが聖痕計画を始動させ、みんなをここに封印した。その行為によりここの世界の泡は「浮上」して、そういう結果をもたらしたの。事実、私たちの計画の中心となるあの虚樹の残骸も……聖痕計画がこの世界の泡を選んだから、ここに現れた

放っておけば体量の小さな泡は消滅して、量子の海の一部となってしまうが、「虚数の残骸」があることで、微弱ながら虚数の樹とのつながりが維持でき、世界の泡の寿命を延ばすことができる。そして、ケビンの凍結する能力を付加することで、世界の泡の消耗を最小限にした。

ここでの橋の役割がちょっとわからない。考えるべき課題だろう。

待って、それってつまり、私たちが何もしなくても、この世界の泡は最終的には外の世界と「融合」するってこと?
—その通りよ、そんな状況でも、あなたたちは現実世界の月に戻れるけど、その時にはもうすでに聖痕計画は成就し、あなたたちの律者コアもだめになると思うわ。

律者コアがダメになる、つまり、「追放の地」に律者たちを追放したけれど、本当の意味で、死ぬわけじゃないし、律者コアが使えなくなるだけ?

まるで、ヨルムンガンドと同じようにこの世界の泡を「道具」のようにあつかうようであり、怒る識の律者。キアナらも受け入れがたいという反応を見せる。いくら博士にこの世界の泡の運命は重要でないと言われても抵抗があった。

メイ博士とプロメテウスはこの世界の泡のパーツでしかない。だから世界の泡の消滅と運命を共にすることになる。

雲霧茶…廬山雲霧茶(ろざんうんむちゃ)は、中華人民共和国江西省九江市南部の名山廬山を産地とする緑茶である。いわゆる「中国十大銘茶」の一つ。

聖痕計画にとって、時間は味方、虚樹の残骸を利用すれば最短で現実世界に戻れる。まだ聖痕計画が可逆的なうちに何とかしないといけない。

「くりこみ」の成功率に関する問題、オットーの前ではできたが、「百人分の力」を借りてようやくすることができた(ch28)。今は、太虚剣気で律者の封印を回避しているとはいえ、万全ではない。そこで、精神世界に別の人を受け入れ、「精神の枷」を振り切るのをサポートしてもらうことを提案するメイ博士。聖痕計画は律者自身を利用してその力を扼殺しているだけ。もう一人の律者の意識があれば「精神の枷」を容易に壊せる。

本当の意味での「仲直り」

識ちゃんが教えてくれたのか、メイ博士はリング状の特異点を持つ律者は、自分の意識をコアに保存できるということを知っている博士(ch26、漫画「第二次崩壊編」など参照)。楽園に出入りした経験を生かしてキアナの体内、思想空間に入るようにする。互いの心と体が十分に開かれた状態なら相手の思想空間に入ることができる。

最初に現れたのが聖フレイヤ、思い出深い場所。キアナはここで姫子先生と最後の別れをした。自然と姫子先生の話になる、プレイグジェムに記録された世界の中で会ったことと、ここで別れを告げて「薪炎の律者」となったこと。「その時、私はようやく気付いたんだ……私たちの人生の中でどうでもいいように見えるものこそ、大事な部分を占めてるんだって」

思想空間の中の聖フレイヤを歩きながら思い出を語る二人、そして、あの場所に切り替わる。

千羽学園の屋上。芽衣とキアナの運命が分かれた場所だ(ch17)。あの日と違って空に雷鳴はない、芽衣はここで起きたことを思い出すのが怖かった。

そして、あの日のことを語る二人。ヨルムンガンドに入ったころの芽衣はほぼ眠れなかった、どうすればあの衝突を回避できたのかずっと考えていた。でも、答えは見つからなかった。二人はどちらも間違ってはいなかったから。芽衣を引き留めるキアナキアナを助けたい自分もどちらも間違ってはいなかった。だから、行動に移して、どちらかをはっきりさせなくてはいけなかった。「でも逆に考えると……もしあの時の衝突がなかったら成長できなかったし、今の私たちになることもなかったんだよね」

キアナ:美しい世界のために戦う――それは私の信念で、姫子先生との約束でもある。そして私にとって、芽衣先輩は……その美しさの中で最も特別な存在。特別だからこそ――私や世界よりも、芽衣先輩自身のことを……もっと大切にしてほしい。
芽衣:でも結局のところ、そんな風に私が「世界」を好きになるきっかけをくれた人は――キアナちゃん、あなたなのよ。

二人はようやく自分の中にある答えを言葉にすることができた。

意外にもベナレスについて拾う。場面が変わり、長空市のベナレスが落ちたところ。芽衣を守るために、「虚樹の残骸」の攻撃を受けた場所。そこで、ベラの意識は完全に消えてしまい、それから「倶利伽羅」が生まれた。キアナは繰り返し助けてくれたベラにありがとうを伝えたかった。

「視点を世界の外側に移せば、きっと、絶対の悪も、完全な善も存在しないんだと思う」。人間の中の二面性ってのは崩壊では繰り返し語られてるところですね。

ヨルムンガンドについては、階段をすっとばして答えを見つけようとしている。そして私たちは「より良い答え」を導き出さなければならない。これはほんとそう。終焉を乗り越え、未来を手に入れるためにはどうするのか?

そして、「精神の枷」が現れ、二人は協力して倒す。精神の枷を倒した二人は、力を部分的に取り戻し、キアナの思想空間を後にした。

思想空間から出てきたブローニャは二人がほんとうの「仲直り」をしたのを確認した。

メイ博士との別れ

メイ博士。世界の泡から抜け出す時、もしかしたら私たちの軌跡が一瞬の間だけ「特異点」を残すかもしれない。役に立つかどうかわからないけど……
もし、その隙を掴み、自身の「存在の在り方」を再調整すれば、固有世界で存在を維持できるかもしれません。

さりげなく、固有世界での存在の維持の可能性が示される。しかし、それは雲をつかむような低確率で現実的ではなかった。前回それを成し遂げたのは「オットー主教」だという。彼はどうやって「世界を欺き」、どのような代価を差し出したのか?

芽衣、そんな顔をしないで。だって……あなたは既に「古の楽園」の終わりを受け入れてるはずよ?…見えるのよ、エリシアがあなたに残した「印」が。だから、信じてるの。「火を追う蛾」の遺志を受け継いだものなら、私たち一人一人の行いにはそれぞれの意味があったことを理解してくれていると。あなた自身のことも信じている……私がケビンを信じてるようにね。

けど、別れには意味がある、そうでしょう?

聖痕計画の本質は「世界の編纂」。このことさえ覚えておけば、いずれは律者の力でそれを変える方法を見つけられる……そして、新たな紀元の時代の「火種」を灯してちょうだい。それが、「人の律者」であるあなたたちの責任。

あまりにもカッコイイ。いつかエリシアが14人目の英傑がいると思っちゃった?みたいな冗談をいってたけどメイ博士もまた前文明の立派な先行者だった。

そして「神秘主義」との戦い

32章の冒頭でも「業魔」ケビンが戦っていた敵、ゼーレが見ていた夢?の話。これについては、正直よくわからない。

再会

デュランダルがらしくない態度をとるので困惑するキアナ。

ゼーレもブローニャと再会を果たす。そして、微妙にピリピリしている識ちゃんと素裳が面白い。カロスタンでお祖師さま負けてしまったので。

場をにぎわしていた識の律者が突然去る。そして、ケビンとフカの気配が感じられた。

「友」か「敵」か

あなたは「勝利者」になったその瞬間……「救世」の銘を背負う自身もその手で殺すつもりなのでしょう?

今までの崩壊との戦いを振り返るケビン。蚩尤により伏羲と女カが命を落としたことで失敗したも同然になった「火種計画」、グレーシュが担当していた「方舟計画」も連絡が途絶えた。その後、ケビンが「聖痕計画」を実行しようとしたがスウがそれを阻止し、ケビンを量子の海に閉じ込めた。スウは「恒沙計画」にかけて、千界一乗をつかって無数の並行世界を観測し続けた。それぞれがみな、善を尽くしてきた。

「火種計画」を託されたフカと「聖痕計画」を託されたケビン。両者は相いれる計画ではない。一方が最善で、他方が最悪の計画。決着をつけなければならない時がきた。

時空を超えた約束

結局計画は失敗してしまい、この世界の泡は固有世界に融合されて消滅することに。プロメテウスはメイ博士を非難するように言う。融合は本来は四十日後に発生するはずだったのに故意にそれを早めた。

プロメテウスには過去に大事なことがあろうと、動けた日はここを一人で訪れて、何もせず一日中過ごしていた。プロメテウスは「融合」するその瞬間に、「この時間に身を置くこと」が重要なんだと感じた。後味の悪い結末だという。

終焉の律者が「固有世界」から世界の泡を「剥がそうとしている」という推測にたどり着いた時、最初にその発見を共有したのはケビンなの。…。理論には全く明るくない彼だからこそ、私が見落としていたところに気付いたの……それをきっかけに、仮説を語り、とある約束をしてくれたわ。もし、どちらかが「終焉」を乗り越え生き延びることができたら――その人は毎年……知り合ったこの日に、ここでそっと過ごすことにしようって。

「終焉」が「世界を滅ぼす」ことで世界の泡が生まれるのなら、もしかしたら、そこに存在する私たちはその約束を覚えているかもしれない。この日の意義はそこにあるのよ。果てしない時間と空間を超えて、「すべてを失った」相手に寄り添うことができるかもしれないでしょう?

プロメテウスは理性に欠けた約束を守り、根本ともいえる作戦の方向性を決めてしまったメイにたいして、「盲目」的といえるとまで非難する。彼女は「絶対的な理性」を保っていなければいけない存在だからだ。

「思考」は「知識」と違って目的が必要なの。プロメテウスはようやくメイの意図を見抜いた。彼女は自分の「感性」の「生存空間」を勝ち取る、その目的のために「理性」を保とうとしていた

火を追う蛾たちは決して認めないかもしれないけど……彼らが私についてきてくれた理由、それは――私が徹底的な「ロマンチスト」だからよ。そしてそれは、固有世界のケビンが私たちを「道具」にして、あの子たちをここまで来させた根本的な理由でもある。彼はようやく悟ることができたのよ……「火種計画」の本当の内容を。…。「計画のない計画」にとって、重要なのは「揺るがない夢」と「不変なる真我」

しかし、プロメテウスがそれを伝えるには時間が残されていなかった。

ここで消えかかってたプロメテウスに対し「第三種の要素」が生まれた。

ミステル・シャニアテと呼んで下さい。消えかけのプロメテウスをこの世界に留めた。「新生者」を見捨てることはできない。

ヨルムンガンドでは「ウサギ」と呼ばれているわ。けど、ミステル・シャニアテって呼んで――これは自分につけた「人間の名前」よ。けど、今の状態だと、まずはあなたの意識を全て「聖痕」に映した方がいいかもしれないわ。博士と違って、純粋なデータの意識なら「自我」を失うことはないし。

もし「明日」が存在しなければ――「夢から覚めること」は死刑宣告と同じなのよ。

感想とか

キアナとメイが「仲直り」するシーン
互いを想うことから生じてしまった衝突。
芽衣も楽園を通じて他人の犠牲について理解できるようになった。
二人は成長して自分なりの答えにたどり着いた。

ロマンチストなメイ博士
なかなかいい人だったメイ博士。
最初はやや不安に思えた博士。十三英傑の信頼があったとはいえ、時には冷酷な理性主義者とも思われかねない印象もあった。メビウスとの会話でも、「文明側」につくといい、その場合における「人類」の在り方については含みを持たせてた。
でも、彼女もまた他の英傑と同じように「火種」を残した人物だった。
「救世」の英傑も救いを必要としている。彼はどういう結末を迎えるのか?
侵蝕の律者の時にケビンが相手の手にわたったら終わり的なことを繰り返し言ってたので終焉はケビンなのかと漠然と思ってたけどどうやらそういうことにはならなそうな感じになってきた。

二人のプロメテウス?
固有世界のプロメテウス、これは幕間に出て来たプロメテウスで計画通り他の「虚数くりこみ群」と一緒に消滅してしまった。そして、世界の泡「追放の地」のプロメテウス。こっちは、ミステル・シャニアテによって固有世界における存在が維持された。
断橋の空間にいたのはなぜ?

ミステル・シャニアテとは?
どうみてもセシリア
ということはおいて、「聖痕の意志」と同様にシャニアテ家の聖痕の管理者なのかもしれない。
ひょっとしたらケビンよりヤバい奴なのでは…?
聖痕計画の主力というか、こいつ抜きにはそもそも聖痕計画無理だったのでは?
御三家の中でシャニアテ一族だけちょっと理解が薄い。シナリオ読み直さないと
セシリアとアナ・シャニアテ
「聖血」がたしか崩壊エネルギーを中和だか消滅させるような働きがあったんだっけか
消滅する世界の泡からプロメテウスをとどめて、聖痕に映すことができる。謎過ぎる能力
ミステル(独:Mistel):ヤドリギ

オットーのしたこと
識ちゃんは「もう一つの世界」といってたけど、あくまで固有世界の話だったと思う。カレン・カスラナの再登場はあるのか?個人的な妄想を話すと、終焉の律者が月の世界の泡を作った存在であるならば、地球にもそれの対になる存在がいると思う。世界に多様な可能性を残す存在がもしいるのだとすれば、それが聖女だと言えるかもしれない。

「十二人の決められた律者が降臨した」
やはり、死と約束は消化済みという認識なのだろうか。だいたい能力はわかっているが、前文明の律者戦はノベル等で読みたい。

テレサは?
ケビンによって時空の果てに飛ばされてしまったテレサ。こういうことされた人はパワーアップして帰ってくるのが世の常。おそらく、疑似時間結晶の未来人ことAIΛ(ラムダ)が活躍するのではなかろうか?聖痕計画をぶち壊すにはヴィシュヌの力が最適なので、再登場はするはず。たぶん。

ManQ

原神も3年目となり新しい楽しみ方を探すべくブログを始める。
ストーリーのテキストをじっくり拾って読むのにはまってます。
神話は詳しくないので頑張って調べてます。

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