第33章 真理の名を以て③ 感想

崩壊3rd

第三部の感想

記憶① 「ウサギ」の誕生

ウサギは不意に現実世界に現れた。聖痕空間から生じた、聖痕。自分の起源すら知っている。突如、「限界突破」をしてシャニアテの聖痕空間から登場した。

ここで、ウサギの能力が明らかになる。
一息つくくらいの僅かな間に、この機会に関する「情報」が体内に流れ込む。彼女は「転写」という技巧で、相手の「物語」を把握できるのだ。そして、この「転写」はロボットのような無機物でもできるという。消えてなくなる前に、その存在が経験した「全て」あるいは「一部」が聖痕側に転写されデータになり保存される

そして、「第六の神の鍵」(黒淵白花)を見つける。そこについている血液から、情報を読み取った。

オットーとセシリアの会話。ここで、シャニアテの「聖血」について語られる。神殺しの槍とは、第9章で出てきた空の律者を止めるために姫子が撃ち込んだ注射。

オットー:「聖痕の呪い」――この話をするのは初めてだね。…。カスラナ家とは違い、シャニアテの血筋を維持しているのは、偶然の「遺伝的な変異」、もしくは……「疎外の情報」。今、君の体内にある清血、そして君自身の遺伝子は、僕が情報を分類し、その純度を高めたものなんだ。それはあくまで「改良」じゃなくて「分類」だ――残念ながら、いくら僕でも副作用を起こしやすい情報を遺伝子から取り除くことはできない。

そして、シャニアテの聖痕には二つの矛盾した力を持つという。一つには、自身の操る崩壊エネルギーを強化する一方、崩壊エネルギーの侵食を弱める方向。

オットー:どちらかの純度を挙げると、ただ清血を提供するだけの実験対象、もしくは崩壊エネルギーを短時間自在に駆使し、その後はすぐさま命を失う存在になる。…。僕は「中和」の部分は「血液」に、「強化」の部分は「肌骨」に効果が出るように調整したんだ。
オットー:…とにかく、君は衝突する力を一つにまとめ、手にした黒淵白花で創生と凋零の力を発揮することができる。もしその微妙な均衡を破ることを選択した場合……放たれた聖血はその効果を発揮し、君が犠牲となった地は崩壊の禁域、人類の楽園になるかもしれない。同時に、もし僕が心配したようにそれが「反転」し、未処理のまま君の体内から流れ出てしまったら、崩壊を呼び寄せる毒血へと変貌する可能性がある。もちろん、他にも「意外」ともいえる可能性は存在するだろうね。だが……その時に何がどうなるかは、僕にも分からない。

オットーが崩壊分裂ミサイルを撃ち込んだ理由の補足ですね。漫画版だと第二律者とジークフリートの危険性からオットーはミサイルを撃ったのですが、セシリアの「反転」の危険性もあったってことですね。

ここで、第二次崩壊、最期の場面 「聖血解放・白花の鬱血」、セシリアは他の犠牲が出ることを許さなかった。

極限の中にある彼女の聖痕は、その時確かに空の律者を上回り、現実と虚数の合間に存在する境界線を貫いた。…。――まさに虚数空間につながった瞬間、人類に「聖痕空間」と呼ばれた存在は、初めて「人間」に近い容貌で世間に現れた。――それは「イデア」が初めて降臨した証であり、聖痕の呪いが「シャニアテ」にもたらした意外な結晶でもある。

ウサギ、誕生の瞬間。そして、第二次崩壊においては、「反転」は起こらなかったという事実、機甲が第六の神の鍵の捜索中に壊れた事実から、かかる災難の原因が自分であることに気付いた。

記憶② 灰蛇1904

ウサギは何度も自分を殺そうとしたが殺すことができなかった。灰蛇は、彼女をヨルムンガンドに勧誘する。ヨルムンガンドに来れば「死」という望みが叶うという。「聖痕計画」には興味を示さない、そして、ウサギは聖痕の強制覚醒に耐える人物をようやく見つけたという。その、「適合者」に向けて灰蛇が銃を撃つところで終わる(記憶④に続く)

記憶③ 灰蛇7125

死んだはずのウサギが蘇ってくる場面から始まる。彼女が現れた場所の全ては一瞬で崩壊に侵食される。崩壊獣でさえ、彼女に触れようとするだけで死んでしまう。ウサギは崩壊獣と戦う機甲を見つけたが、助けず静観しているところに灰蛇が現れた。

灰蛇と初めて出会う場面。彼は、崩壊獣をウサギが生み出したこと、そして、その近くによると死んでしまうことを知っていた。その上で、シベリアで起きた不規則な崩壊現象の原因が、第二次崩壊でないことに気付いていた。元凶はウサギ。その存在は不安定で、現実空間と聖痕空間を行ったり来たりしている。

灰蛇は「偉大な願望」の実現のために、彼女をスカウトした。人間の聖痕を活性化させるという点ではなく、「転写」の能力に注目した。

灰蛇:君の特質のせいで、私は死んでいく。もう助からない。さあ、君が昔にしたように……私を現実の存在からただのデータに「転写」し、「イデア」の形で保管してくれ。私の「すべて」を手に入れた暁には、言葉よりも効率的なコミュニケーションの手段で君は知るだろう――真の「聖痕計画」とは何かを。

ブローニャはウサギが植えこんだ情報を「剥離」することで、律者コアの主導権を取り戻そうとしたが、ウサギが情報を植え込むスピードにはかなわなかった。

記憶④ アレクサンドラとの記憶

再び現実空間に投げ出されていたことで、死ぬ直前の人間の体内にある聖痕を呼び覚まして、「孵化」という形で相手の命を引き留めようとした。しかし、その試みはうまくいかず、イデアの種として存在を残せる程度だった。しかし、独りだけ例外が現れる。それが、アレクサンドラという女性だった。

アレクサンドラは身体の弱い妊婦であったが、まれにみる崩壊エネルギー耐性の持ち主で、「聖痕覚醒者」となった。ウサギは彼女が例外となった原因を探ろうと彼女の世話をしていた。

最近助けてくれた人、名字しか教えてくれなかった人はカカリア、名前しか教えてくれなかった人はセシリア。シャニアテ(?)には自分の名前がなかった。夫のアレクセイは数か月前の第二次崩壊で命を落とした。アレクサンドラは彼女に「ミステル」という名前を与えた。ある神話では、「生命」のを意味し、別の神話では「死」を意味する。そして、不意にノックがなったところで記憶①の場面につながる。

アレクサンドラはマクシムに相談して生まれてくる子供のためによりよい環境に引っ越したいといった。そして、彼らが来る前に偶然に見捨てるとであった。アレクサンドラはミステルが「悪者」であるということになんとなく気づいていたが、彼女の口から話してもらいたかった。そうして、ミステルは自分が何者であるか、初めて自分の口から話すことになる。

すべてをアレクサンドラに打ち明けるミステル、そして、ミステルは聖痕を覚醒させたことによって子供が生まれてこないと告げる。ミステルは、謝罪する。アレクサンドラは、攻めるようなことはせず、なんとか解決策がないか探ろうとした。しかし、その方法は、活性化させた聖痕を再び眠らせることだった。

ミステルからすれば、「孵化」の後に、ようやく見つけた唯一の希望を手放すことなんて到底無理だった。そして、アレクサンドラの決断を少し「無責任」であると言ってしまう。ミステルは子が生まれてくる世界が美しくないことを強調する、しかし、アレクサンドラは、そういう負の可能性を考えても、未来を持つチャンスすら奪うことはできないだろうという。自分の選択に後悔をしたくない。

ミステルはなおもアレクサンドラの命が奇跡で、普通でないと説得しようとする。しかし、アレクサンドラは説得に応じることはなかった。そうして、ミステルは覚醒させた聖痕を眠らせた。アレクサンドラは優しい言葉をかけた。

アレクサンドラ:でもあなたは未来を残してくれた。ミステル、もうそんな顔をしないで。できれば、あなたが今日のことを思い出した時……自分を誇って。貴方は命の反対側に立ったけど、それはあなたの本心じゃない――少なくとも、あなたは本物の人間のように「命を尊重する」ことができた。

アレクサンドラはとの会話を続ける。墓碑銘ついて新しい考えを思いついたというはなしをしているところで不意に別れが訪れた。現実空間で不安定だったミステルは聖痕空間に引き戻されてしまった。次に現実空間に戻った時には3か月が経過していた。ミステルは自分の特性を知りつつも、アレクサンドラを探してシベリアに謎の災害をもたらし続けた。

記憶⑤ 灰蛇1904

ミステルは灰蛇の下に訪れて、ヨルムンガンドに加わることを告げた。その取引として、彼女の状況を確認することをもちかけた。灰蛇は対等でないから不公平だといったが、「協力」することは拒まなかった。ミステルに貸しを作りたかった。

この1904という個体は、ニューアトラで「詩人」と呼ばれていた個体で、たぶん今までの詩的な回りくどい言い方をしてた灰蛇はこれなんでしょう。

一年後、ミステルはアレクサンドラが亡くなっていたことを知った。墓碑銘にアレクサンドラが遺したかった言葉は結局わからなかった。子どもは無事生まれたが、彼女のような耐性はなく、ごく普通の子供だった。

聖痕計画が正式に始動した時、実験の一部として――君は「自身を転写する」機会を手に入れる。完全に消えてから、「羽化して生き返る」のだ。計画で他の対象を操作する時とは異なり――「自身を転写する」ことで得られる結果は……彼女は君と同じ体と同じような能力を持つが、同じ意志を持つわけではに。纏わりついた呪いも、存在しなくなる。

「本当の意味で死ねる」機会を得られる。

最初の仕事として、「理の律者」を考察することを任されたところで回想が中断される。ブローニャが記憶空間から突如戻った。

ウサギとの決着

ブローニャは自分で律者コアとのつながりを絶ち、理の律者の力を放棄することで、空間を脱出することができた。ウサギは「同類をつくること」が聖痕計画を必要としている理由だと言うが、ブローニャはウサギと自身の母との関係を知らないので疑うことがない。そして、ウサギは理の律者に執着している理由を「嫉妬」だという。似ているような存在でありながら、一方は英雄となり、もう一方は呪いとなった。

ウサギは空になった律者コアを返した。ブローニャは自身も三十万分の一になることで「疑似羽化」に成功して、理の律者の力を回復する。そして、空間に閉じ込められていたキアナと芽衣を解放した。しかし、ブローニャは、「必勝」の作戦を思いついたため、一人で戦わなくてはならないといった。

ブローニャは、ヴェルトと自分が三十万人の思想をうまく扱えていなかったのは畏敬の念を抱いていだからだと考えた。ここのところちょっとうまく説明できないけど、たぶん理の律者としての力は三十万の思想がすべてではなく、その運用能力にあるということにあると思う。三十万の思想は結局、過去の思想でしかない。それを乗り越えて、未来の問題に取り組む必要がある。伝承とはただ、過去を受け継ぐだけではない。過去を乗り越えなくてはならない。

ブローニャは「羽化」に成功する。分散した律者コアを一つにしたこと。コアに会った意識の残片を消すことで、

戦いが終わり、ブローニャはウサギが導きを与えているように感じた。ウサギはそれを否定した。

ゼーレとも再会し、委員長も目覚め、識の律者とも合流する。そして、ケビンの状況について知る。彼は、月を離れ、次の段階に向かったという。その際に、月にある「星門」というワームホールの話をした。覚醒したブローニャは、星門を修復し、一向は地球へと向かった。

デュランダルと素裳が装甲で地道に帰ってるのに、キアナたちはワームホール使うのはちょっと笑ってしまった。どうだろう、結構時間が経ってたりするのだろうか。

感想とか(途中)

まずブローニャがよかったですね。ようやく成長したか、っていう感じ。そうです、理の律者ではなく「ブローニャ・ザイチク」として、一歩前へと進んだ。ヴェルトならこう考える、のではなくブローニャが自分自身で答えを探すところがよかった。

ブローニャの羽化に関する話だったが、中心はウサギの話だったと思う。

ウサギの正体についても、結構意外だった。シャニアテの聖血についても掘り下げがあった。「理の律者」と因縁があったのではなく、ブローニャと縁があったっていうのは結構意外な感じがした。しかし、ウサギが歩く聖痕計画ってのもなんか残酷な運命だった。存在するだけで致死量の崩壊エネルギーをまき散らすというまさに存在自体が災厄。英雄扱いされているヴェルトと違い、彼女には選択の余地すらなかった。

アレクサンドラが聖痕覚醒者ってのも驚きだった。あと、覚醒した聖痕を再び眠らせることができるってのも意外だった。シャニアテの聖血を考えれば聖痕を強制覚醒することも、それと正反対の眠らせることもできるってことでしょうね。

そもそも、ヴェルト・ジョイスが誕生したベルリンの第一次崩壊がどういう事件だったかについても結局は言及がなかった。いったいどういうきっかけで起きたのだろう。

ゼーレの存在は謎が増えた
・未来の量子の海のゼーレ
・「天然のイデア」

ManQ

原神も3年目となり新しい楽しみ方を探すべくブログを始める。
ストーリーのテキストをじっくり拾って読むのにはまってます。
神話は詳しくないので頑張って調べてます。

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