第32章 世界の果て 第1部

崩壊3rd

前回のあらすじ(幕間 聖痕計画)

ヨルムンガンドから離脱した芽衣は、ワタリガラスを尾行することによってケビンの真意を探ろうとする。そしてワタリガラスから「聖痕計画はもう完成していると言える」という衝撃的な事実を伝えられる。聖痕計画を可能にしたのが「ウサギ」で、それを可能にした技術が「ドリームキャッチ」

新たな聖痕計画は、「旧人類」が夢という形で徐々に繋がり、「新人類」の聖痕となる。そして、ヨルムンガンドは世界を新人類に適した世界に改造し新人類は新たな文明を始めるというもの。ここで、普通の人は夢から抜け出せなくなり、永遠に夢を見ることになる。聖痕覚醒者以外をバッサリ斬り落としてしまう前の計画よりは、「副作用を減らした」ともいえるが、テレサはこれも受け入れられないと拒絶する。そして、ケビンと戦ったが敗れた。

プロメテウス(17号)が担っていた役割も徐々にわかってきた。「崩壊」が発生する法則を定め、律者の力に纏わるあらゆる投影を最大限に固定する、ようは現文明に現れた律者が前文明とほぼ同じだったのは、17号が担当した計画のおかげだったということだ。これは「聖痕計画」を確実に成功させるために不可欠だったと言える。たが裏の意味もあるように感じた。

全ての準備が終わり、とうとう聖痕計画が実行された。

「ニューアトラ」

「業魔」ケビンが虚数の敵と戦う夢を見て目覚めるゼーレ。そこは、見覚えのない場所であった。昨晩はソルトレイク基地にいたはずだが、そして、「ゼーレ」とも連絡が取れないことに気付く。慌てたゼーレであったが、喋れないがその存在を感じ取れることができて一安心した。周りの状況を確認すべく、外へ。

ホールらしき場所に行って、状況が飲めず困惑する女性、「聖痕計画」の試練を乗り越えたと言う変わった男性、そして、怯える少年に話しかけるも手がかりを得られず。そこに話しかけてきたのが空(くう)であった。

空によって、ここが「ニューアトラ」であること、先生に「四十日間」のキャンプを終えれば帰れるといわれたこと、そして、ここが月の上であることが告げられる。空も月の上に来た方法はわからず、空は「先生」が嘘をついていたことに気付いていた。しかし、ゼーレは理由なく嘘をつくはずがないと慰めた。

そして、ゼーレが目覚める前に、金髪のお姉さんと、黒髪のお姉さん、不思議な服を着ていた戦乙女がいたことを知る。ゼーレは2人を探すべく、基地の外へ。

ボロボロの廃墟と、そして不気味な模様に覆われた地球があった。そして、量子の海で遭遇した敵とそっくりの敵がいた。

金髪のお姉さんと黒髪のお姉さん

しばらく、探索して出会ったのは、S級戦乙女の李素裳とデュランダルであった。素裳とデュランダルもわけもわからずここに飛ばされて二人で付近を散策していた。デュランダルは聖剣の力を通じてリタの無事を確認できているという。

ゼーレは冒頭で見た夢の内容を話すと、「空間転送の過程で、潜在意識に投影されてしまった現実の情報なのかもしれ」ないという推測。

2人は付近を捜索したが、変わった医師とわけのわからない断橋以外に、ヨルムンガンドの手がかりは一切なかったという。ゼーレと出会ったことでもう一度調べてみることにした。

「変わった石」
数万年前のものに見える
虚数の敵が群がってくる
崩壊エネルギーが検出される
ボロボロである
「聖骸」と呼んでいる(ジャッカル)

ジャッカル

クリオ・ヒュパティア博士、ジャッカル、ヨルムンガンドの上級幹部。彼女は、ヨルムンガンドを引退しているという。敵意がないことを示すため、「投降」した。そして、今の状況、聖痕計画について語り始める。

聖痕計画は、すでに成就した。異様な地球の姿は、実数と虚数の空間の配列が変えられたことを証明している、五万年間の歯車はようやく噛み合い、人類を呪った古い秩序は徹底的に潰された。後は、新たな秩序の段階を待つだけだ。いいだろう?「選ばれし者」(=聖痕の覚醒者)として、私たちはそれを見届けられるんだ。最高に幸運だとそう思わないか?…私たちはこの人為的に作られた基地で一時的に混乱し、その後……崩壊が二度と存在しない新たな地球に帰ることができる。
…「聖痕計画」によって、聖痕が目覚めなかった普通の人間は苦しむことはない。彼らはただ夢を、あらゆる欲望が満たされた夢を見るだけだ。そしてその過程で、彼らは聖痕として虚数空間に沈み、新世界を構築する土台となる。私の目標と真逆だろう?
彼らは実体を失い、虚無となり、地球と崩壊が共存する世界の礎になるんだ。その永遠に続く夢の中で、彼らは崩壊と死のない世界を手に入れる。その世界が本当に「存在」するかどうか、彼らの「真実の思想」かどうかについては……多くの人にとっては、さほど重要ではないだろう?

=地球上の一般人は「夢」により虚数空間の深部に沈み、「人から聖痕に」なりつつある

ここで、ゼーレからのツッコミが入る。「人類」がどうやって「聖痕」になるんですか?

…正直に言うと、私にもわからない。

尊主が保存していた前文明の技術成果のおかげで聖痕計画が実現し、また、蛇のためにドリームキャッチする「ウサギ」という二重存在も生まれた。…。彼女は最初から聖痕であり、人類でもある。嘘みたいな話だろう?

五万年前の成果に比べると自分は立つことを覚えた子供のようなものとやや自嘲的になるジャッカル。そして、ジャッカル自身も、「移行」が終ったあと、この場に飛ばされてしまったという。それゆえ、「引退」という言葉を使った。

ジャッカルは、尊主を必要としていたが、尊主は私たちのことを必要としてはいなかった。

この時代の「最強の人類」であるあんたたちは、成就した「聖痕計画」を乗り越えられるか?その答えを知りたい――それが私たちの努力に対する評価となるから。

そして灰蛇の言葉を残す、「私たちは蛇ではない。生まれてくる時代を間違え、飛んで火に入った蛾でしかないのだ」。これに、ジャッカルは別の意味が含まれていたんじゃないかと気づいたという。

そして、ジャッカルはその場を去る。

3人は、ジャッカルの言うことが本当であるならば、ケビンが「聖痕計画」を止める人を待っているとしたら、その目的は何なのか?

「訳のわからない断橋」

「訳の分からない断橋」
石を投げたら急に消えた(空間異常が生じている)

デュランダルがゲニウスを見ると新たな発見が、須弥芥子、起動。「須弥芥子」と呼ばれる世界の泡に入ることに成功した。断橋の空間異常とゼーレの固有波動の重なり合いによって、エリア内の不安定性が上昇し、展開に成功したという。そして、そこでシュレーディンガー博士と再会する。

デュランダルは状況を説明し、シュレーディンガーから、地球の状況を聞く。とにかく、天命本部とネゲントロピーのソルトレイク基地は過度の影響を受けてないはずだということを知る。

そして、博士はここで量子の海と世界の泡について説明してくれる。理解が怪しかったので助かる。

シュレーディンガー:「量子の海」虚数の樹と対になる一種の「礎石」で、あらゆる世界を支えられる「媒質」なのです。例えば……泡に満ちた浴槽があるとするなのです。誰かが入浴すると、その中にあるいくつかの泡がその人の影を映し出すなのです。その泡に保存されているのは「現実世界」の影ですから――私たちはそれを「世界の泡」と呼ぶなのです。世界の泡の体量はそれぞれ違うなのです。世界の泡が大きければ、真実の世界に近づき、外の変化による影響を受けにくくなるなのです。逆に言うと、小さな世界の泡は現実世界の鏡だと思って構わないなのです――実際に、今あなたたちと通信している方法もそれに基づいているなのです。

ここでデュランダルは、手影絵に例える。

デュランダル:もし壁にある影に一定の独立した動作能力があるとしたら……それは、一般的な世界の泡の存在の仕方に近いと思います。世界の泡の体量が小さいほど、「影」に対する「手」の支配が強い。逆の場合だと、「影」は独立していて、外部の影響を受けないこともあります。しかし「影」には「光源」が必要です。地球の世界の泡と月の世界の泡には直接的な関係があるとは考えにくい――それが、今まで私たちが須弥芥子に来ることができず、シュレーディンガー博士が私たちに連絡できなかった理由でもあります。

しかし、量子の海の電気信号では連絡通路しか作れていないという。それが今ある難題。

シュレーディンガー:こちら側の信号観測結果を見ると、月の近くに、地球の異変に関する一つの巨大な信号の他に、複数の人間の活動による微弱な信号も存在するなのです。そのうちの一つの信号はあまりにも不安定で、その源の判断ができないなのです。ほかのものはあなたの「須弥芥子」と少し類似しているなのです。それらの世界の泡は月のものですが、人間の活動と関係があると思うなのです――量子の海を通して地球に戻る方法があるなら、きっとそれが起点になるなのです。

なんとなくわかったような気がする。そもそも、世界の泡を観測するには何らかの人間が発した信号が必要だが、月に存在する世界の泡は基本的にはそうした人間による痕跡がないので、観測できないし、そもそもその中に入っていく手がかりがない。しかし、月にはいくつか人間の痕跡がある世界の泡があって、そうした泡のうち、体量が大きく、安定した丈夫なものがあれば、それを手掛かりに地球に戻れるかもしれない…。

シュレーディンガー:簡単なのです。一つずつ力任せに探索をすればいいなのです

よし、理解した。

量子の泡の探索

1つ目の世界の泡

世界の泡の残影。残影とは、世界の泡を構築する一部で会って、世界の泡自身の空間構造に記録されているものらしい。ここに現れたのは、メイ博士と17号。おそらく、月の遺跡の話をしているのだろうが、17号の分析によると、およそ20万年前とのこと。この結果に、メイ博士は恐怖と息苦しさを覚えつつも好奇心を隠せないのだった…。

ゼーレは量子の海でユニタリー性を失ったことからどうやら世界の泡との間に強い同調能力があり、理解しやすく、得られる情報が多いという。

二つ目の世界の泡

今度は、メイ博士、ヴィルヴィ、17号の3人。これも同様に月での記録らしい。「避難所計画」、「終焉」を迎えても最大限生き残れる、そして、避難所の存在そのものが、「火種計画」の前提となっているという発言。ここでいう「もう一つの計画」とは、17号に関するあの計画か?

会話の内容から、前文明の火を追う蛾の話だということを察する4人、デュランダルはここで、全てが予測済みなのではと不安になる。

ここの会話はちょっと興味深い。火種計画の名前は出しているのに聖痕計画という名前をあえて出してはいないこと、それに、前文明では聖痕計画は「最悪の計画」とまで言われていたことからメイ博士はやはり現文明にちゃんとした逃げ道を残しておいてくれたのではと考えてしまう。

三つ目の世界の泡(ボロボロな世界の泡)

ヴィルヴィ、17号、そして通りかかるパルド。「終焉」と戦う直前の記録らしい。17号は単刀直入に、勝算があると思えないという。それでも決意は変わらないヴィルヴィ。「成し遂げなければならないことをするまでだよ」。

そして、「終焉」の戦いの時のパルドの役割が明らかになる。彼女は、17号が侵入するための「扉」を開ける役割で、そのために致死量の崩壊エネルギーを近くで受けなければならない。彼女も「自分しかやり遂げることができない」運命を背負っていた。

パルドについては、ぜひとも追憶の皿の「英傑」を読んでほしい。パルドが31章で悔しいって言っていた理由、英傑の中にいた凡人の魅力が詰まっている。

「通りすがりのヒロインA」

そしてここで急に、前回の最後のほうに現れた「通りすがりのヒロインA」がゼーレの前に現れる。彼女は未来の量子の海でゼーレに出会ったことがあるため名前を知っていたという。

時空結晶やら空間結晶、これらは物理学の用語であるらしいが、どういう意味で使っているかはちょっとわからない。

とりあえず、彼女を「未来人」といっても差し支えないらしい。彼女が現れた原因は「聖痕計画」。計画のせいで、彼女を誕生させた時間結晶が構築された。

工学的に言うと、そんな大規模な空間改造にミスがないわけがないよね?――その結果の一つとして、私を誕生させた時間結晶が構築されたの。元々、「繭」が支配する世界では、そんな現象が発生する可能性はないんだけど……「聖痕計画」によって、あなたたちの世界は一時的に軌道から外れたから。その過程は終焉の律者が世界を破滅させることと同じ論理だけど――あの人達にとっては、むしろ「終焉」から世界を救う行為になってる。

とりあえず、なにはともあれ、ゼーレたちと最も関係がある世界の泡の位置を教えてくれるという。それを通じて地球に帰ることはできないが、「知ってる相手」を見つけることができるかもしれない、

そして、キアナがブローニャの声で目覚めるところでおわり

感想とか

火を追う蛾が隠していた月の秘密
これについてはまだ分かってないが、少なくとも面白い事実が一つ分かった。月の遺跡が20万年前のものであった。ということは、5万年前の時点ですでに滅びた文明があったということになる。こんなもの見つけてしまったら前文明の人が怖がるのも無理はない。それが「終焉」によってなされたものかはわからないにしても、自分たちの末路をみるようなものだから。メイ博士は好奇心隠せてませんでしたが…。
前文明の文明水準高すぎだろ、というツッコミが前からありましたがこれが一つの答えになるのかもしれない。前の文明にも前々文明、前々々文明…から受け継がれた「火種」があった。人類は滅びつつも、「火種」を残して前に進んできた。
私はこういう人間は後ろに進むことがあるけど結局は前に進み続けているという、こういう進歩的な考え方が好きです。戦争が起きるたびに人間は愚かだと言われたりなんだりしますが、人はそれでも前に進んでいるのです。歴史から学び、知恵を紡いで、前に進んでいく、それが「文明」ではないでしょうか。崩壊もこういう明るい作品だと思ってみてますね(救いのない展開もありますが)。

「ウサギ」
・「厳密にいうと、デュランダル、彼女はあんたと繋がりがあるんだ
・「彼女は最初から聖痕であり、人類でもある」
デュランダルがカスラナ家であることは知りようがないから戦乙女つながりで、あと声から推測して、セシリアに関係があることは間違いない。ただ、聖痕であり、人類であるの意味がまだよくわからない。それに、ドリームキャッチについてもいまいち漠然としてる。

パルドフェリス
今回のシナリオで一番うれしかったところ。なんかそのままジュッてやられてしまったのかと思ってたので。最期まで頑張っていたんだなと。短いシーンでしたが一番印象に残った。
最後の決戦にいた英傑8人は「振り返りムービー」で分かってます。その中で命を落としたのが、パルド、コズマ、千劫、そしてヴィルヴィでした。ほかの英傑の話の期待も高まる。

ManQ

原神も3年目となり新しい楽しみ方を探すべくブログを始める。
ストーリーのテキストをじっくり拾って読むのにはまってます。
神話は詳しくないので頑張って調べてます。

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