使う資料は「ルネの調査ノート」と聖遺物「水仙の夢」と魔神任務など。限られた情報でどれだけ掘り起こせるかという試み。かなり推測が多いということに注意して下さい。
まず、水仙十字院とはなにかについて考えます。そして、「ルネの調査ノート」からどのようなことが読み取れるかを検討します。
水仙十字院とは、水仙である院長が子供(長命の種族?)を受け入れた施設(孤児院)だったと考えられます。500年前、世界中で天変地異が起きましたが、フォンテーヌで起きたのは洪水で、院長と副院長はそれに対処すべく行方不明になったと思われます。ルネの調査の目的は、カーンルイアの災厄で行方不明になった院長と副院長の捜索およびフォンテーヌの天変地異の原因となった「黒潮」の調査であったと考えられます。
()の部分は補足説明なので読まなくて大丈夫です。
そもそも水仙十字院とは?
水仙十字院とは「ルネの調査ノート」に出てくるフォンテーヌ(?)の「太陽と月が届かない場所」(地下?)にあった組織で、孤児院か何かだと思います。院長、副院長、ルネ、アラン、ヤコブ、■■■(女の子)などの人物が登場します。
登場人物
院長(女性)
背が高く、水スライムと比べられるような謎の存在。後述のように水仙(Nymph)だったと考えられます。「姉妹たち」というのはニンフの姉妹たちだろうと考えられます。おそらくカーンルイアの災厄で行方不明になりました。
(「背の高い純粋な院長」「院長は諸悪の根源を絶つために、姉妹たちと一緒に旅に出た」「最終的に、この懐中時計は送られた相手と共に、すべてを溶かす原初の水(=水の国の旧主)へと落ちていった※これは副院長の可能性もある」)
副院長(女性)
彼女もおそらくカーンルイアの災厄で行方不明に
(「そして副院長は戦うための船へと乗り込み、水の中でその最期を迎えた」「副院長は母の歳に近かった」「…副院長先生は必ず帰ってくるって約束したんだ、と僕は彼に言った。彼女は絶対に約束を守る大人だし、絶対に子供を騙したりしない。でもいろいろ見ているうちに、彼女は帰ってこないんじゃないかって、思いはじめてきた。」)
ルネとヤコブ
ダーリ人の遺跡を調査した少年たち。ヤコブはまだ3本目の歯が変わったばかりとかなりの子供。
この子たちも人間なのかというとかなり怪しい部分があります。なぜなら聖蓮(「ガオケレナ」)と重なりあう部分があるとされているからです。
■■■(女性)
「彼女(=院長)は少女よりも戸惑いながらハグで迎え入れ、その服を濡らした」とありますが、たぶん少女が泣いていたのだろうと思います。記述が少ししかありませんが、「ここのおやつはおいしい」という風にどことなくマイペースな感じが伝わってきます。
アラン
水仙十字院の一人。ルネの友人。
カールおじさん
ルネの調査に同行した人。十字院の人かどうかは不明。付き添いの大人だろうと考えられます。人間ではなく機械の可能性も。
水仙の勇者たちのその後
「旅中の花」によると水仙の勇者たちは散り散りになったとされています
マショーレ・ファントム(憲兵団?)に引き取られた人、特巡隊に引き取られた人、異国を行き来する探索者に引き取られた者が挙げられています。
そして、長い年月が過ぎたあと、「あんな風に、未来の物語が中断されないように、ある者は精密な仕掛けと鋼の体を頼りに進む道を探している」、「ある者は、物語を再開させようと背を向け、水仙の名において、全ての条理を越えた旅に出た」、「ある者は今も、枯れた花を大事にするように、続いていく未完の午後の冒険譚を懐かしんでいる」とあるように、現在も生きていることが示唆されています。
彼らの正体
水仙(Nymph)の勇者たちとあることから、文字通り彼らは水仙の類であったと考えることもできますが、ギリシア語のNympheは若い女性を意味するので男の子は違います。個人的には、水仙である院長がエルフなどといった多種多様な孤児を受け入れた施設なんじゃないかと思います。水仙の院長が創ったから水仙十字院。そして、「旅中の花」を見ればわかるように、今もその一部は生きていることが示唆されています。
ニンフに関わる話は純粋精霊と「水仙の一瞬一瞬」に出てくるナルキッソスなどがあります。
純粋精霊は英語でオケアニス(Oceanid)とされていて、これはオケアノスとテティスの娘で海のニンフを指します。また、ナルキッソス(Narkissos、「水仙」の意)という名前の悪龍が「水仙の一瞬一瞬」に出てきます。ナルシシズムの語源となったギリシャ神話ですが、彼に恋したエコー(Ēchō)は森のニンフで、叶わぬ恋の末、木霊となってしまいました。
(ゲーム中には、フォンテーヌ科学院の創立者アラン・ギヨタン、エラ・マスクの祖父ヤコブ・マスクという名前が出てきますが関連性は不明。もし、ヤコブ・マスクならエラ・マスクがなぜあの容貌なのかが説明できます。ただし、風立ちの地にいる彼女の妹が普通の人間っぽいのが疑問に残るところではあります。)
ルネの調査の時期
300~500年前だろうと考えられます。個人的にはカーンルイアの災厄にかなり近い時期であろうと思います(400~500年前あたり)。
まず水仙十字団のこれらの活動が行われた時期の範囲を絞ることが大事です。
カーンルイアとルネの調査チームの前後関係ですが、彼はカーンルイアについては既に歴史的事実としてみていることから、カーンルイア滅亡後の話であることが分かります。そして、ルネの調査は教礼院調査チームでその存在が言及されていることからその前であることがわかります。つまり、カーンルイアの滅亡→ルネの調査→教礼院調査チームの調査の順です。
手掛かりになるのは「教礼院調査チームの日誌・2」の「我々より遥か昔に」という文言、そしてズルヴァーンの「数百年前」という発言です。
100年前のことを「数百年前」とは言わないので、教礼院の調査チームは、少なくとも200年以上前のものだと考えられます。次に、「遥か昔」とありますが、ここは感覚が分かれそうなところです。私の感覚だと100~150年以上は前だろうと感じました。
これらのことから、だいたい300年前から500年前の出来事であるだろうと考えられます。
「ルネの調査ノート」/「失われたノートの断片」
だいぶ引用に使いましたが、このノートは、ダーリ人の遺跡を調査した時にルネが記したノートだと考えられます。その内容は日記的な内容を省いて大きく分けると、①霊光の力/アビスの力/アゾス物質、②ヤコブの体調不良、③フォンテーヌの災厄についてとなります。
①霊光の力/アビスの力/アゾス物質
霊光の力というのは平たく言うと天空の力だと思います。天理が使役する天空の力で、花霊が使う霊光の力は花神に由来すると考えられます(花神は「偉大な種族」と呼ばれる天空に由来する存在です)。アゾス物質は地脈から抽出した元素力を製錬したもので、遺跡巨像などでみかけるエネルギーブロックに使われている物質です。アビスエネルギーより安定性に優れていると考えられます。
1行目は世界任務を踏まえると污秽(穢れ)であると考えられます。2行目は深渊(アビス)。
なぜ伏字にしているのかは謎です。世界任務でミヒルが穢れを吸い取ってしまっていたように、霊光の力と穢れは混ざり合う性質を持ちます。
そして、その力は「自らの意識」を持っているという。これは呪いが身体にとって代わろうとしているというダインの発言を思い出します。霊光の力は元をたどると天空の力に由来するので、同じように呪いが意識を持っているのだと考えられます。
「失われたノートの断片」はおそらくクリングソルがルネの調査ノートを切り取ったもので、アゾス物質、アビスの力、霊光の力の関係が考察されています。ここでは、洞窟の住民(カーンルイア人?)はアビスエネルギーの制御に失敗したとの推測がなされています。
甘露の由来というのがおそらく「水の国の旧主」(前水神)と考えられます。
②ヤコブの体調不良
これについては、ヤコブに何かを投与したようですが、地脈から抽出した元素力を製錬しただけの「アゾス物質」でこんなことを言う訳がありません。ということは、霊光の力かアビスの力のどちらかだと思います。聖蓮との関係を考えると、霊光の力のことを言っているように考えられますが、「あれだけ遠く離れた家までが水没してしまった」といっているのでアビスの力の可能性も否定はできません。そして、その力自体を移植できるのか?という問題も残ります。
そしてこのこの「偽日記」について考えたのですが、結局わかりません。中文も假日志、英文もfake journalで手がかりがありません。単にカールおじさんを騙すために書いた日誌(ヤコブに投与した何かをごまかすために改ざんした記録)くらいにとりあえず考えておきます。
③フォンテーヌの災厄
500年前の災厄と現在の災厄
ここに関わってくるのが最初の方に書いてあった、「カーンルイア人の記録と組み合わせれば、世界式を逆算できるかもしれない」という部分です。世界式ってなんなのかよくわかりませんが、例えば、アビスと霊光の均衡の計算式が考えられます。
ナヒーダは世界は禁忌の知識を排出し続けるといっており、またアランマもマラーナはそれが世界の記憶にあるから消えず、またいずれ戦わなくてはならないという話をしていました。つまり、テイワットにおいてはアビスエネルギーが蓄積され続け、それが周期的にある種の限界(霊光が処理できる限界)に達すると考えられます。
ナセジュナはこの霊光の力とアビスの力の勢力争いを「闘争」という言葉で表現していました。世界は元素より上位の霊光の力とアビスの力で「闘争」しており、この限界を超えると神の元素の世界が上書きされてしまうのではないかと考えられます。
「第一洪水期」というのは、カーンルイアの災厄の際に起きたフォンテーヌの天変地異であり、これが洪水であると考えられます。そして、「第二洪水期」は次の災厄が訪れる時期で、ルネはこれを何とかして止めようとして動き始めました。
ここで面白いのが彼が「逆算」したと言う部分です。逆算とは遡って計算することをいい、カーンルイアの災厄からさかのぼってひとつの災厄があったのはいつだと考えると、1000年前キングデシェレトの禁忌の知識の事件が考えられます。そうすると、500年ごとにアビスと霊光の力が均衡に近づき災厄が訪れるなんてことも考えられます。
カーンルイアとキングデシェレトの文明は非常に共通点の多い文明で、私はここの二つに何らかの交流があったのではないかと考えています。ただし、手がかりが全くないのが現状で、この二つの文明は世界樹の影響を受けているのではないかと考えられます。どちらも禁忌の知識が絡んだ事件ですから、影響を受けてないと考える方が不自然です。
話を戻すと、カーンルイアの災厄から500年後は現在です。つまり、「焚真の天象」は偶然ではなかったと考えられます。シナリオを振り返っても、モンドの龍災、層岩巨淵の異常、稲妻のウェルプの出現(黄金王獣も)、スメールのマラーナの化身や「焚真の天象」はすべて500年前の再現です。
旅人はというと、兄妹を襲った神を探す旅をしているのですが、ドラゴンスパインの寒空の釘の修繕、層岩巨淵の釘の修繕といい、その行為はすべて天理の手助けをしています。この矛盾がどういう方向に行くのかがこれからの楽しみなところです。今までの流れからするとフォンテーヌでも、500年前の再現(洪水など)が起こるのではないかと思います。
災厄を乗り越える方法
そしてもう一つ面白いのが、ルネが災厄を乗り越える方法を検討しているところです。
「…そんな中、ふと突破口の可能性を思いついた…計算結果は変わらないだろうけど、その製錬方法を…の力に転写すれば、その中の「意志」を抽出できるかもしれない。その方法によって…衝撃に抵抗する…」(ルネの調査ノート)
ここに関わってくるのが、「あまり意味はないだろうが、「アゾス物質」の製錬方法で霊光の力を処理した後、アビスで作られた…と反応させれば…」「…カーンルイア人が夢見てきた、真の永続エネルギー源を製造できるかもしれない…」(失われたノートの断片・2)という部分です。
これは、二つの相反する力から新たな力を生み出し、それにより災厄を乗り越えようとする方法だと考えられます。力を以て力を制すこの考え方はルネの若さが反映されてて面白く感じました。
(補足)■■の解釈について
とくに絶対にこれという根拠があるわけではないのですが、原文でも同じ文字数分だけの■■をとっていること、わざわざ■の数を変えていることから、■の数には意味があってそこに中国語が入ると考えられます。次が典型です。
「悪しき魔法使いの羽杖」のテキストですが、1行目はルネ(雷内)とアラン(阿兰)。そして、3行目は幼いヤコブ(雅各布)だと考えられます。その手前の■■■と6行目は「勇者たちのお茶会」に出てくる少女であると考えられます。
魔法使い(魔女)で■■■というとアリス(艾莉丝)が思い浮かぶのですが、彼女はそんな若いわけがないので違うと思います。
ただし、これは絶対ではなくて、例外もあります(ほかに例外があるのかは現在未確認)。参考に留めるくらいの方がいいのでしょうが、自分の場合はうまくいったら中国語でそのまま解釈してしまっています。
おわりに
今回は「ルネの調査ノート」に書かれていることを深掘りすることを目的としました。
次は旅人の時系列についてちょっと追加の記事を書きます
以上
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