クレーと錬金術

原神

「涼夏!楽園?大秘境!(ver3.8)」のネタバレが含まれているので注意。

この記事は集流映写灯の原理テイワットの錬金術について考える記事です。

クレーが集流映写灯を使えたのはなぜか?ということに始まり、世界樹、魔女会、錬金術はどういう関係にあるのかについて探っていきます。

問題のシーン

ヴェルーリヤ・ミラージュにおける最初のパーツ探しで西のエリアに行く途中の出来事です。

「集流映写灯」をじっと観察しています。

何かを入れる動作をしています。

これは「集流映写灯しゅうりゅうえいしゃとう」を作ったと考えられます。クレーは先成図を使わずに、びゅんびゅん爆速車を作っているという。集流映写灯でものを作るには先成図が必要なはずですがなぜできたのか?

「集流映写灯」の原理

前の記事をおさらいすると、フォンテーヌから逃げ出し、砂漠を彷徨っていたイディアを助けたのがアリスでした。そしてアリスはイディアに対してこの(「ヴェルーリヤ・ミラージュ」)をプレゼントしました。

「集流映写灯」

この瓶の中だけで使える装置が「集流映写灯」です。集流映写灯は、先成図に基づき、色々なものを作ることができます。「願いをかなえられるのは、瓶の中だけ」と言っているように、水形幻霊を使ってリアルなものを作ることができるのは瓶の中だけだと考えられます(純水精霊は色々な生物を作ってますがどれも一見して水とわかるものばかりです)。

イディア:物を「集流映写灯」に入れれば、その形とイメージに対応するものを作り出すことができるはずだったんですけど、今は蜃境全体の運行が停まってて…基本機能しか動いてないんです。…そこまで基本的なことしか、ってわけじゃないんですけど…ただ、今は平面的なものしか映し出せなくて。これを「先成図」って呼んでます… 

フェルディナンドは蜃境の中でものが存在するには。まずは「先成図」がないといけないと言っています。

つまり、集流映写灯は物を入れればそのイメージに対応するものを作ってくれる装置です。そして、そのイメージが先成図とされています。

先成図

先成図の原理についてイディアから聞くことができます。長いですが大事な部分なので引用します。

イディア:えっ、原理を説明してほしいのですか?実は私もよく分かってないですよ。とにかく、先成図はどちらかと言いますと、考え方の一つで…例えば、植物がどのように成長するかは最初から種の中に書き込まれていて、鳥の羽がどのように広がっていくのかが卵の中にいた時から決まっていたように。物事は道理に沿って、いま目に映るすべてになっているのです。そして実は最初から、万物の設計図とは決まっていたりするのかもしれませんね。先成図がその設計図になります。ビンの中の光に照らされると、それが広がってヴェルーリヤ・ミラージュとなるのです。あっ、これはこの魔瓶の中でしか実現できない芸当になります。

整理すると、集流映写灯で何かを作る場合は先成図と材料が必要。そして、先成図を描くには物事の道理(設計図)を知っている必要があります。

これに似ているものがあって、錬金術です。アリスが錬金術を使えることを考えると集流映写灯に錬金術の仕組みが生かされていても不思議ではありません。

テイワットの錬金術

錬金術の見解

おそろしくふわっとしたことしか書いていません。

ティマイオス:それは古代からの技術で今でもわからないことが多い。その規則はミステリアスで不可解で、僕たちが知る創造物体の原理とは全く違うんだ。この技術をうまく使いこなせば、すごいものも作り出せるはずだ。大丈夫、操作はそんなに難しくないよ。興味があるなら基本的な部分を教えるよ。風の翼を使用するのに風の翼の作り方を理解する必要はない、錬金術も同じさ。

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スクロース:たとえ今であっても、錬金術は世界の謎の一つに過ぎない。決して物質を永続的に存在させるような万能法術じゃなくて…

錬金術で作られたものも、爆弾の起爆物質、どもりを直す薬、漆器に使う塗料、イス、風霊、種が4倍大きいスイートフラワーなど…錬金術によって生み出されるものも多様です。

一番参考になるのがアルベドの伝説任務です。

錬金術には「イメージ」が必要

まず、アルベドは枯れた枝を再生して見せます。

アルベドの悩みとは別世界から来た種を咲かせることことができない。そのため、同じく異世界から来た旅人から「異世界の生命」に関するインスピレーションを得ようとしていました。つまり、イメージできない、構造を理解できないものは創造できないと考えられます。

最初は、メモの挿絵を描く程度だった。だが、細部まで絵を描き込む事で物体の構造や法則を理解しやすくなり、錬金術を学ぶのに大いに役立つことに気付いた。(アルベドの絵)

錬金術を行う上では構造を理解し、具体的なイメージを持つことが必要だと考えられます。

錬金術とクレー

昔から、クレーは母親から様々なことを教わった。火薬や信管の選び方から始まり、自分のインスピレーションをどう花火の配合に反映させるか、どうやってより大きくて綺麗な花火を作るか…爆弾をどこに設置すれば、星拾いの崖を丸ごと壊せるか…騎士団にバレて、青い顔をしたホフマンに怒られながら、二人して気まずそうに舌を出したことも、クレーにとっては大切な思い出である。(キャラクターストーリー・5)

旅館の食事は非常に豪勢だ。厨房の設備も充実しており、錬金術の実験にぴったりだ。錬金術の実験と言えば、起爆物質に関していくつか新しいアイデアがある。計画通りに物事が進むのならば、ここで数日長く滞在した後、帰離原へ向かう。(テイワット観光ガイド・璃月編 荻花洲)

「テイワット観光ガイド」にはアリスが「起爆物質」を作るために錬金術を使おうと場面があります。ということは、クレーも同様に爆弾を作るために錬金術を使える可能性が高いと考えられます。アルベドと一緒に暮らしていることからも知る機会は少なくないと思います。

錬金術と地脈 

地脈は記憶と元素から成ります。

記憶の流れ

「この世界のあらゆる物は常に循環し、地脈には常に記憶と元素が流れている。」「もしかしたら、古の文明は最早…塵を宝に輪転させるような法則に到達しようとしていたのかもしれない。」(参量物質変化器-アクションカード)

例えば、地脈異常が起きる場所では過去の記憶が主人公の前に現れることがよくあります。例えば、残像暗線におけるディルックに関する記憶であったり、カリベルトにおけるもう一方の旅人の記憶です。また、死者に関する記憶も含まれており、例えば八重神子の伝説任務などもあります。

アランナラの言う「森はすべてを記憶する」というのも記憶と関係があるものです。これは地脈の終着点(起点)である世界樹(サルバ)と関係のあることだと思います。

※私はここの死者に関する記憶≠魂と考えています。なぜなら地脈は生きている人間のことも記憶しているからです。地脈に記録されるかどうかの基準はよくわかりませんが、少なくともそこに記録されているものはコピーに過ぎません。死者の魂はあるのかわかりませんがその行き先は世界樹ではないのではと思います(土に帰る、冥途に旅立つ、天に召される、お星さまになるなど実は文化によって考え方はまちまちです)。

元素の流れ

こうした流れをズルヴァーンは時輪じりんの流れ」(the time flowing)と表現しています。これは文字通りでは輪っかのイメージ、すなわち、時間の循環、万物の永続性などを示しています。「輪廻」といっても差し支えないと思います。アランナラたちがいるのはこちらの世界です。

霊光はこの流れに囚われないので、アビスによる汚染を取り除くことができるし、世界樹が記憶していないような事柄についてもとどめることができると考えられます。

※地脈に干渉する技術を持っているのがアビスとカーンルイアです。カーンルイアはアゾス物質というものを作っていました。

地脈と錬金術

実用目的を除くと、錬金術は物質の性質とその変化の法則を研究する学科であり、最終的には世界と地脈の流れの法則につながる。誰がどのような目的で行ったのかは分からないが、地上文明に広がるこの錬金術の極みのような産物は、結晶化後の不活性元素物質を変換させる力を持つ。かなり使いやすく実用的だが、バランスを壊してしまう大きなリスクも抱えている…(変転の塵)

「物質の性質とその変化の法則を研究する」というのは合成台の文句と同じことを言っています。

四大しだい」というのは仏教の地・水・火・風の物質の構成要素を指します。「五行」というのは木・火・土・金・水の五つの基本的な要素またはエネルギー相互間の関係を表しています。(ここは英語だとEarth and water, wind and fire, craft for me what I desireとしか書いてません) つまり、物質を性質とその変化の法則に従って再構成するくらいのニュアンスだと思います。

あと問題になるのは「最終的には世界と地脈の流れの法則につながる」という部分です。地脈とは物質の消滅と再生の過程を示していると考えられます。そのため地脈を研究することが、再生や創造につながるのだと思います。

※ただし、ここについて昔のイベントでディルックに宛てた手紙の中でアルベドが「ボクの研究は主に錬金術に関するもので、地脈については詳しくないんだ」とはっきり言っています。もっとも、これについては地脈の情報の流れについて言っている部分なので逃げ道はあります。

世界樹と魔女会

モナ?優秀な魔導師のお嬢さんみたいね。でも、わたくしはその「魔女会」のメンバーじゃないわ。古樹の考察、組織のお茶会、話に聞くだけでも面倒なのよね

魔女会は「古樹」を研究する組織でテイワットで古樹というと石化古樹やら世界樹などがあります。

ここの古樹についてはIrminsulとなっているので世界樹であると考えてよいと思います。

※イルミンスルは、ザクセン人が進行していた樹のようなもので、カール大帝が遠征して切り倒しました。キリスト教世界から見て破壊すべき異教徒の偶像みたいなニュアンスを持っています。アビスには(広く)キリスト教に関する単語が含まれていることがあります。例えば、アビスの使徒、アビスの詠唱者(Abyss Lector)、深罪の浸礼者(Iniquitous Baptist)、福音(Gospel)などです。そのため、アビスの側としては、塗り替えるべきテイワットの「法則」の一つなのではないかと思っています。

※ここの使徒にはApostleではなくHeraldが当てられている。

これにより、魔女会ー錬金術ー地脈ー世界樹がつながるという訳です。

おわりに

まとめると、クレーが先成図を抜きで集流映写灯を使うことができたのは、日常的に爆弾を作り錬金術を使っていたことで、錬金術の基本的な考え方を身に着けていたからということになります(子供はお絵描きが好きなので想像力が豊かであるという結論も好きです)。

今回のイベントで、ゾシモスという人がいます。パノポリスのゾシモス(Zosimos)という有名な人がいるので錬金術についてはちょっと匂わせていると思います。

錬金術は地脈と関係があり、地脈は世界樹と関係がある。それゆえ、錬金術も魔女会と切り離せない要素だと考えられます。

フォンテーヌといえば気になるのがおばば(バーベロス)で魔女会についてもモナの伝説任務2幕などで掘り下げが来るのではないでしょうか。

※未解決に終わった問題が1つあって、なぜ集流映写灯が瓶の中でしか使えないのか?という点です。錬金術と違い水形幻霊が素材の一つになっていることにヒントがあると思います。水形幻霊が瓶の中でしか存在できないからかもしれません。

(おわり)

ManQ

原神も3年目となり新しい楽しみ方を探すべくブログを始める。
ストーリーのテキストをじっくり拾って読むのにはまってます。
神話は詳しくないので頑張って調べてます。

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