ver4.0において新たに紀行武器が5種類追加されました。いつものようにテキストについて掘り下げたいと思います。
かなり断片的なテキストですが興味深い内容を多く含んでいます。
紀行武器
狼牙
伝説によると、遥か昔の流浪騎士が使っていた長剣。
「北風の騎士」に関しては少なくとも4つの逸話が残っていると考えられます。①北風騎士レイブンウッド(鉄影段平)、②騎士団黎明期に「北風」と呼ばれた騎士(狼牙)、③狼と共に戦った「北風の騎士」(狼の末路)、④「幼き狼」と呼ばれたルースタン(西風大剣ほか)の4人がいます(③を分けているのは、鉄影段平と狼の末路のデザインが違うこと、狼牙には大剣に関する言及がないことを理由としています)。
黎明期の騎士団の話なので1000年くらい前か。「鷹飛びの浜」の由来は初めて知りました。
「物語の発端は、領域外の海から暖かさと平和を求めてモンド海岸にやってきた蛇の妖魔だ。黎明期の騎士団はまだ力が弱かったため、無名の騎士は銀貨一枚の報酬で魔物狩りを引き受け、町の外に出て狩った。そのあと血と腐った肉の匂いに誘われて、幾千もの鷹が数日間ずっと砂浜を旋回していたという——ゆえに、鷹飛びの浜という名の由来は、実は西風の鷹のロマンチックな伝説とは関係がない。」
狼牙 | 「狼」の騎士「北風」に関する話 |
狼の末路 | 「北風の騎士」「狼の騎士」と呼ばれていた騎士が用いた大剣 狼とともに戦った「北風の騎士」に関する話 |
鉄影段平 | 「光の獅子」エレンドリンが子供のころに持っていた北風騎士レイヴンウッドの模造品 |
西風剣 | 西風剣術は光の獅子エレンドリンの影ルースタン(「幼き狼」)が生み出したもの |
西風大剣 | 騎士出身のエレンドリンと農民出身のルースタン 二人は共に英雄となる夢を掲げエレンドリンは団長に、ルースタンはその右腕となった |
終焉を嘆く詩 | ルースタンの最期が描かれている |
※北風騎士レイヴンウッドは聖遺物「勇士の心」の記述がエレンドリンとルースタンに関するものであり、そこに「千年前」と書いてあることから1500年前くらいの存在であろうとする見解があります。
話死合い棒
ナタに関する珍しいテキスト。
英雄テノッチ(話死合い棒の持ち主)/ワンジルとその相棒ケウク/メネリクと相棒のンゴウボウ/サンハジェ・コンポレと相棒のマハンバ/ブルキナと相棒コンガマトー/スンジャタと相棒ムフル/巨人のトゥパク/六大部族
このようにナタには六大部族があって、多くの部族長?は相棒(人ではない可能性も)をもち、行動しているらしい。名前からはアフリカ/ラテンアメリカを想起させます。
「空の果てから濁った黒い潮流が押し寄せてきた」「黒い山岳と激突した」などからカーンルイアの災厄と考えらえれます。この英雄テノッチという人物は六大部族を回って協力を仰いだようです。
フィヨルドの歌
父親が少年に対してある物語を語っている様子。個人的にはタルタリヤが父親から教えてもらった物語のような印象を受けました。
ヒュペルボレイア(Hyperborea):ギリシャ神話に出て来る北風を起こす山の向こうにあると考えられた常春の国。
アヤックス(Ajax)…トロイ戦争におけるギリシア軍の英雄(大)アイアス(Great Ajax)、原神でアヤックスと言えばタルタリヤの名前。
スネグーラチカ(Snegurochka):ロシアのおとぎ話に出てくる雪でできた人形の名前。
烈日の後嗣
キングデシェレト没後の群雄割拠の時代、藩王に殺されなかった祭司が弓術を残したという話。祭司の子孫は自らのことを「烈日の後裔」と言って、儀式を続けた。エルマイト旅団は「隠者」と呼んだ。
魔神任務3章4幕でもカサーレという祭司が出てきました。
こうした「隠者」末裔の中には、タニットの長老のようにその技術を「猟鷹」(タッドラーも弓を使ってました)を育てるのに使っていたようです。面白いのはタニットは「花神の娘」を自称1していましたが、実のところはキングデシェレトの司祭の末裔だったのではないか?という点です。
リルパァールがバベルやアザリクに対してやたらとあたりが強かったのは自身が花神の眷属だからということもあるでしょうが、バベルらがキングデシェレトの末裔に過ぎないということも一因だったのでしょう。
古祠の瓏
沈玉の谷の過去に関するテキスト。「沈玉の谷を支配していた魔神が異郷で命を落とし」とあるがこれは螭か。
「果てしない歳月が再び流れ、先人の氏族と村落は遺民と融け合って、新しい宗族として集落ができた…玉を彫刻する古い技術を失ったため、新たな時代では茶栽培が生業となる。このため沈玉の谷には茶畑が広まった」。
これがどうやら翹英荘で茶栽培が盛んになったきっかけのようです。翹英荘は軽策荘のように集落を指すと考えられます。
儀式のために遺瓏埠については来歆の余響にも名前が出てきます。
沈玉の谷/翹英荘については来歆の余響(ver2.6)の話がまだ未回収です。碧落の瓏にも記述があります。翹英荘には薬君というあいまいな名前が残った仙人や魚になった(?)少女、留雲と理水の友人など興味深い記述があります。長生も関係してそうです。またそういえば歌塵の話もこのあたりの話だったような気がします。
璃月好きの人にとっては一番関心が集まっている場所ではないでしょうか。
かつて、薬君山という山があり、山の主は杯の中の旧友とある約束を交わした。茶の木が成長したら、その葉を採って煎じ、仙人たちを誘って宴を開こう。なんとめでたいことだろうか。…しかし悲しいことに、約束をした二人の仙人のうち一人は湯呑みの底の茶葉のごとく水へと沈み、もう一人は茶葉を採る十の指と共に記憶を失った。(白朮キャラクターストーリー)
沈玉の谷の人は帰終とも関係がありそうな記述があります。
沈玉の谷の人々は元々は、紅紫の鉱山(層岩巨淵?)に住んでいたようで、そこから北上して翹英荘に移り住んだそうです(「翹英荘の年寄りは、沈玉の谷の先人たちは南にある天坑から移動してきたと言う。」)
「彼らの末裔はかつて、とある忘れ去られた魔神を信仰していた(=帰終?)が、それもやがて歴史の中で塵となって消えていったのだ」
※瓏(ろう)というのは、龍の模様がある雨乞いに用いる玉のことをいいます。
補足:「千年」に関する問題
魔神任務3章5幕
※ここ旅人日誌で確認したら「数千年前」に修正されてました
サイフォスの月明かり/彷徨える星
あれは千年も前の出来事
那是千年前的旧事
This story takes place thousands of years ago
マカイラの水色
千年前、あの愚昧な王が砂丘に沈んだあの時代
传说在千年前,那痴愚之王隐没于沙丘下的时代,
Legend has it that a thousand years ago
烈日の後嗣
だが心の底では、千年前に災禍に見舞われた先祖やキングデシェレト陛下を哀悼してやまない。
但在内心之底,他们无时不深切哀念着千年前横遭惨祸的先祖与赤王陛下。
Yet in their heart of hearts, they deeply mourn their ancestors and His Majesty, King Deshret, who met with disaster millennia before.
まとめると「数千年前」が正しい。
これ意外と重要な事実で、つまり、魔神戦争末期(2000年前)にはキングデシェレトはもう朽ちていた可能性が高いということになります。これは「最後の」七人という魔神戦争の帰結を補強する事実です(例外にマルコシアスがいるのですが彼は力を失っていたのでカウントされてない可能性も)。
※ここについては、個人的には2000年前が怪しいと感じています。以前、砂漠と雨林の対立の起源を禁忌の知識との関係で説明しました(禁忌の知識の存在が消去されたためキングデシェレトの死因が歪んだ?)。しかし、ナヒーダの伝説任務二幕において、キングデシェレトの禁忌の知識(の一部?)はアペプに移されたことが明らかになりました。そうすると別に理由を考えなければならず、魔神戦争終結とキングデシェレトの逝去が重なったことが、両者の関係を邪推させ、憎しみとなったのではないのでしょうか。
スメールについて年代を隠しているのは意図的です。おそらく、設定上の矛盾を生じさせないためという大人の事情でしょう。横のつながりについては事実を追っていくしかありません。『レムリア衰亡史』には、レムリアができるより前にジュラバドの興亡があったと記されています。
フォンテーヌでもまたこの「千年」というくだりは出てきます(無垢な海の酒盃)。
しかし、他の場所で数千年前と出ているので特に問題にはなりません。
おわりに
いかがだったでしょうか。今書いている記事の構成が難航し、合間に書いたメモを記事にしてみました。「千年」に関しては今までの記事でよく使っていたため修正しなきゃダメですね…。
なにか新しい発見があったら幸いです。
(おわり)
- タニット、ウッザ、シムティなどの部族の歴代の主母は、みな「花神の娘」を自称する。信仰を基準に、血縁を絆に、そして幻想のパティサラの園圃を頼りにして…互いに分裂し、生きるために抗う砂漠の部族は、枯れぬ泉と尽きぬ知識を追い求めていた。(凝結の刹那) ↩︎
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